×

ウクライナ マリウポリ“製鉄所”で抗戦…司令官「人生最後の訴えになるかも」 プーチン大統領は“制圧”宣言

2022年4月22日 1:22

ロシア軍などに包囲されたウクライナ南東部のマリウポリ。その製鉄所で抗戦を続けているとみられるウクライナ軍の司令官は、音声メッセージで「ここには何百人もの民間人がいる」「私たちの安全な移動を確保してほしい」と日本などに訴えました。一方、プーチン大統領はショイグ国防相との会談で「作戦は成功した」と述べ、マリウポリの制圧を宣言しました。

   ◇

20日に公開された映像で、“人生最後”と呼びかけた、ウクライナ軍の司令官。

ウクライナ軍 ボリンスキー司令官
「これが人生最後の訴えになるかもしれません」

ウクライナ南東部、マリウポリの“最後の砦(とりで)”、アゾフスタリ製鉄所で抗戦を続けているとみられます。

ボリンスキー司令官
「あと数日、数時間しか生きられないかもしれません。私たちは、今いる場所を守っているだけです。ここで犠牲になった民間人もいます。第三国の安全な場所への移動を手伝ってください」

マリウポリを包囲する、ロシア軍や親ロシア派の兵士。マリウポリでは、「人道回廊」が設置される予定でしたが、ウクライナ側は「計画通りに機能しなかった」と明らかにしました。

「news zero」は、先ほどのアゾフスタリ製鉄所で抗戦するウクライナ軍司令官に接触。日本時間の21日朝に送られてきた音声メッセージでは、日本に向けた司令官からの悲痛な訴えが録音されていました。

ボリンスキー司令官
「世界に向けて話しています。特に日本、日本国民、日本政府。私たちの安全な移動を確保してほしいです。ここには500人以上の負傷した兵士がいます。何百人もの民間人がいます。女性と子どもたちもいます。戦うチャンスは、もうありません。武器がありません。敵は私たちより何十倍、何百倍も大きいです」

   ◇

そうした中、日本時間21日午後4時にロシアのプーチン大統領とショイグ国防大臣の会談の映像が公開されました。侵攻直後はショイグ国防相から遠く離れた席で報告を受けていたプーチン大統領が、公開された映像では大臣と面と向かい、至近距離で報告を受けていました。

ショイグ国防相
「マリウポリ全体は、ロシア軍と親ロシア派の支配下にあります」

マリウポリ市街地の制圧。一方、製鉄所にはウクライナ側の部隊2000人以上が残っていて、制圧には数日かかると説明しました。

ショイグ国防相
「(ウクライナ軍が)残り2000人以上は、アゾフスタリ製鉄所に残っています」

それに対しプーチン大統領は「工業地帯(製鉄所)への攻撃は得策だと思えない。攻撃の中止を命令する。迷路のような地下道に入って、はい回る必要はない」と、製鉄所への攻撃中止を命じた上で――

プーチン大統領
「ハエ一匹も出入りしないよう、施設(製鉄所)を封鎖しなさい。まだ武器をおいていない人には、改めて降伏するように提案を。ロシア側は命を保証します」

「マリウポリ解放の作戦は成功だ。おめでとう!」

製鉄所の封鎖を指示し、“制圧を宣言”しました。

   ◇

ウクライナ側はこうしたプーチン大統領の一連の発言について、「言っていることに筋が通っておらず、マリウポリはまだ制圧できていない」と反論しています。

日本時間21日午後9時ごろ、マリウポリのボイチェンコ市長も「今も市民が避難している製鉄所は、攻撃を受け続けています。マリウポリでは10万人以上の市民が残っています。勇気ある兵士たちが全力を尽くして街を守っています。何を言われても、ここはウクライナのものです!」と反論しました。

ロシア側は、5月9日の戦勝記念日のパレードをマリウポリで行うとしています。

(4月21日放送『news zero』より)