侵攻から5か月 支配地域で進む「ロシア化」…市民生活に変化も
ロシアによるウクライナ侵攻から24日で5か月をむかえます。南部の町では「ロシア化」の動きが急速に進み、市民生活に変化も起きています。
◇
ウクライナ軍に攻撃されたロシア軍の弾薬庫。南部の主要都市・ヘルソンでは、今月に入って、ロシア軍に占領された町を取り戻そうとウクライナ軍が反撃を強めています。
私たちは、そのヘルソン市にいまもとどまるコンスタンチンさんに話を聞きました。その取材中にも…
コンスタンチンさん「砲撃です。窓の外です」
その日、コンスタンチンさんが撮影した映像には、空に煙が立ち上る様子が確認できます。
ロシアによる侵攻開始から24日で5か月。コンスタンチンさんは、変化する町の様子を連日、SNSに投稿してきました。その映像から見えてきたのは、事実上の支配を強める「ロシア化」の実態でした。
先週撮影されたスーパーの映像では、新鮮な野菜や山積みの卵など、豊富な品ぞろえの様子が確認できます。一見、普通の市民生活に見えますが…
コンスタンチンさん「スーパーでは(商品の)値段はルーブル(ロシア通貨)とフリブナ(ウクライナ通貨)で書かれています」
値札には、「ルーブル」の方が大きく表示されています。
さらに歩くと、「クリミアの水」と、ロシアが併合したクリミアの名前がつけられた水のボトルやロシアのブランドのジュース。ロシア軍による占領後、これまでにはなかったロシア製の商品も並ぶようになったといいます。
路上で販売されていたのは、ロシアの通信会社のSIMカード。パンフレットには…
コンスタンチンさん「毎月300ルーブル(700円)で10ギガバイトまで使えます」
しかし…
コンスタンチンさん「ロシアのインターネットに接続するため、ウクライナのニュースサイトなどはブロックされるようになりました」
情報面でも「ロシア化」が進んでいるのです。
5月にコンスタンチンさんが発見したのは、ポスターを破る男性。
コンスタンチンさん「こんにちは。何をやってますか?」
男性「“ナチスの痕跡”を消しているんだ」
「ナチスの痕跡」とは、ウクライナの民主化運動の英雄100人をたたえるこのポスターです。破っていたのは、ヘルソンに住む「親ロシア派」の住民だといいます。
当初、多くの市民がロシア軍支配に抵抗したヘルソン。しかし、この5か月でムードは大きく変わったといいます。
コンスタンチンさん「最初はデモに参加した人もいました。主催者は逮捕され、特にウクライナを強く支持する市民は町を出て、ヘルソンには残っていません」
残った市民に対しては、配給なども行うロシア軍。今週、アメリカの政府高官は、ロシア政府がヘルソン州などを併合する計画を始めているとの内部情報を明らかにしました。
この状況について、市民としては複雑な思いを抱えているといいます。
コンスタンチンさん「(ロシアもウクライナも)政治家は政治的なスローガンでどちらかを支持させようとしますが、どちらにも参加したくないです。ただ、平和な町に暮らしたいだけなのです。だから、いまはみんなに実際に何が起きているのか知ってほしいです」