国連・安保理“住民投票”非難の決議案、否決 ロシアが拒否権行使「理事国を直接非難する決議を採択した例は聞いたことがない」…ノルドストリーム破損も協議
国連の安全保障理事会は30日、親ロシア派がウクライナで強行した「住民投票」を非難し、ロシアによる一方的な併合を認めないよう求める決議案の採決を行いましたが、ロシアが拒否権を行使し否決されました。
アメリカなどが提案した決議案では、親ロシア派が強行した「住民投票」を違法だと非難した上で、全ての加盟国に対しウクライナの4つの州のロシアへの併合を認めないよう要請しているほか、ロシアには軍の即時撤退を求めています。
採決に先立ち、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は、「世界の平和と安全を守るために賛成を」と呼びかけました。
これに対し、ロシアのネベンジャ国連大使は、「安保理が理事国を直接非難する決議を採択した例は聞いたことがない。ロシアに拒否権を使わせるよう仕向けた上で『ロシアが拒否権を乱用している』と主張する西側諸国の敵意ある行動は、安保理内での協力を拒否することを示している」などと激しく反発しました。
採決では、安保理理事国15か国のうち10か国が賛成しましたが、ロシアが拒否権を行使し決議案は否決されました。中国やインド、ブラジルなど4か国は棄権しました。今後は国連総会で同様の決議案の採択を目指します。
決議案が否決された後、安保理はロシアの要請に基づき、ロシアからヨーロッパに天然ガスを送るパイプライン「ノルドストリーム」の破損についても協議しました。
破壊工作があったとの見方が強まる中、ロシアのネベンジャ国連大使は、「高額な投資をし莫大な利益が期待できるプロジェクトを自らの手で破壊するのは一切理にかなっていない」とロシアの関与を否定した上で、アメリカの関与の有無について問いただしました。
これに対し、アメリカ側は、「いかなる関与も断固として否定する」と述べた上で、「ロシアは陰謀論や偽の情報など『病的な妄想』を拡散するために安保理を利用している」と強く非難しました。