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香港民主派が語る「ホワイトテロ」の現実

2020年8月4日 17:55
香港民主派が語る「ホワイトテロ」の現実

香港で7月1日に施行された「香港国家安全維持法(国安法)」。市民の激しい抗議活動が行われたほか、深刻な人権侵害も予想されるとして国際社会からも批判や懸念の声が相次いでいます。こうした中、NNNロンドン支局は香港の民主派リーダーの1人である羅冠聡氏に単独インタビューしました。法律の施行後「身の危険を感じた」として香港を離れ、今は英国に滞在している羅冠聡氏。香港で今何が起きているのか、香港の未来は?キーマンが語りました。

■「香港は愛する母国。絶対に帰りたい」

Qロンドンにはいつ到着したのですか?

3週間ほど前に到着しました。ロンドンは天気が良く、人々も温かく歓迎してくれています。様々な政治家と会いました。彼らは香港が抱えている問題や、中国の拡大に懸念を抱いています。ですから、こちらで香港人の権利擁護をする良いタイミングだと思っています。


Q香港と比べ、英国は安全だと感じますか?

ええ、もちろん。しかし、常に移動し、周囲を確認するなど、自分の安全を守るよう警戒しています。中国政府がどれほど恐ろしいかわかっているので、慎重に行動しているのです。


Qロンドンではボディーガードもいるのですか?

いいえ、そのようなサポートは受けていません。自分でできる範囲内で(民主派への)支援活動をしています。今のところ、問題はありません。


Qロンドンで民主主義運動の拠点を作るつもりですか?

こちら(ロンドン)は一時的な滞在なので、ここで何かを作り上げる予定はありません。香港に関する情報や政策についての関心が高いので、そのような人々と会って話をしていく予定です。


Q日本や米国などにも行く予定はありますか。

おそらく。今後の予定がどうなるかによるでしょう。しかし、この重要な時期に英国にいることは非常に有意義だと思っています。というのも、英国と中国の政策の大きな変化を目の当たりにしていて、かつての(英中)黄金時代には戻らないでしょう。英国はよりはっきりと、中国に対して人権侵害などの責任を負うよう立場を示しています。自分がここにいることで、そのプロセスの促進につながっていると思います。香港の問題が、英国の政治の場において重要な課題として今後も話し合われるよう願っています。


Qメディアに向けても香港問題について話していますね?

はい。多くの取材に答えています。自分の話をすることで、香港での問題がどれほど深刻なものであるか皆さんが認識できることが重要だと思います。香港の歴史上最も若くして立法会(=日本の国会)議員になった私が、なぜこうやって海外に逃れてきたのか。これこそ世界に伝えるべき、重要なメッセージだと思います。ですから、多くのインタビューに答えているのです。


Q香港に戻る予定はありますか。

もちろん香港は私の母国で自分が育った私が愛する国です。絶対に帰りたい。しかし、今は国安法による制限を受けることなく、香港の外から声を上げることが重要だと思います。

■自己検閲と恐怖の政治。「ホワイトテロ」が起きている

Q国安法によって、香港はどう変わりましたか。

激しい「ホワイトテロ」(※権力者が敵対勢力に対して不当逮捕や言論統制を行う事)が起きています。自己検閲と恐怖の政治です。私の友人の多くはFacebookのアカウントを削除したり民主化活動に関連する投稿を削除したりしています。友人の何人かは香港を離れることを検討しています。そして、Facebook、Twitterのような多くの巨大企業が、香港での運営が安全かどうか、香港の状況を再評価していると聞いています。一部、国際的メディアも本社を香港の外に移しており、非常に心配な兆候です。香港は金融の中心地です。自由な資本移動、情報や行動の自由などが国際的な競争力を維持するために非常に重要ですが、香港は今それを失いつつあります。非常に深刻な状況です。


Q欧米諸国や日本など、諸外国にどの様な行動を求めますか?

少なくともこれらの国(英・米・日)は香港から目を背けてはいません。依然として、香港では非常に深刻な人権侵害が起きています。香港市民を助けることができる政策の実施や、(香港市民が)深刻な危機に瀕していると感じたときに国外に逃げるのを手助けしたり、国際的圧力をかけることで、現地で抵抗している人を助けたりできれば良い。私達はこのような方向性で、今活動を行っています。


Q国際的圧力とは?具体的に教えてください。

国安法の施行後、オーストラリア、日本、英国、台湾、米国はこの法律が重大な人権侵害であり、中国はこのようなメカニズムを課すのをやめるべきであるとして、対抗策を取ってくれました。そして、中国に対し責任を追及し、ウイグル、チベット、台湾での問題も取り上げています。こうした動きにより、今後中国が民主化する、自由化するなどの間違ったイメージは消えました。ますます権威主義的傾向を強め、そして習近平国家主席の指導のもとで人々が苦しんでいることが明らかになっています。世界はこのような問題を認識し、中国による人権侵害をなくすべきだと訴える必要があると思います。


Q英国は香港と犯罪人引渡条約の停止を発表しましたが、どう思いますか?

これは迅速に実施された措置であり、香港での危機を認識し、世界各国と中国政府に強いシグナルを送っていると思います。このような政策を歓迎します。私は2週間前に公開書簡を送り、英国および各国が犯罪人引渡条約を一時停止するよう要請しましたので、その提案を採択してくれた形です。非常に良い方向性だと思います。

(後編へ続く)

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