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香港民主派リーダーが日本に求める「態度」

2020年8月4日 18:02
香港民主派リーダーが日本に求める「態度」

香港で7月1日に施行された「香港国家安全維持法(国安法)」。市民の激しい抗議活動が行われたほか、深刻な人権侵害も予想されるとして国際社会からも批判や懸念の声が相次いでいます。こうした中、NNNロンドン支局は香港の民主派リーダーの1人である羅冠聡氏に単独インタビューしました。法律の施行後「身の危険を感じた」として香港を離れ、今は英国に滞在している羅冠聡氏。香港で今何が起きているのか、香港の未来は?キーマンが語りました。(前編から続く)


■日本は中国に「正当性を与えてはいけない」

Q日本は中国の習近平主席を国賓として招待しようとしていますね。

私は日本のマスコミに、習近平氏を日本に招待するべきではないと主張してきています。中国の権威主義拡大を封じ込めるためには、世界的な戦いが必要と見なしているからです。私たちは価値あるコミュニティー、民主主義を尊重する国がそのような権威主義的指導者をゲストとして歓迎し、彼らに正当性を与えてはいけないという強いメッセージを示す必要があるのです。これは過去数十年間、問題となっています。これらの権威主義的指導者に正当性を与えすぎてきたために、我々は民主主義的価値を損なったのです。したがって、習近平主席の招待を中止する事が重要です。

Q9月に行われる香港立法会選挙は非常に重要ですね。戦略は?

政府が多くの候補者、特に予備選挙で勝利し、非常に有力な候補者である民主派の候補者を失格にする事を予想しています。これは深刻な不正選挙です。私は先回りし、英国の多くの政治家にそのメッセージを伝えています。昨日、影の外相、リサ・ナンディも議会で同様の懸念を表明しました。民主派の候補者が大量に失格になるかどうかわかりませんが、香港政治は注目を浴びると思います。そうなった時には、国際社会も反応するでしょう。そして英国が香港の選挙監視団を設立するよう要請します。香港は選挙監視団の入国を許可しないかもしれないですが、拒否した時点で、国際社会が監視を行うことが不可能になるので、これは大きな問題になるでしょう。

Q中国政府は強大な権力を持っています。戦うのは大変な事ですね。

はい、もちろん。だからこそ国際的なサポートが必要です。中国と比較すると、我々は非常に分の悪い戦いをしていることも理解しています。しかし、民主主義の価値観を大切にしている自由な国々が連携し、中国が行っている人権侵害に声を上げ、強く責任を負わせることができれば、私達への支援が増え近い将来香港で間違いなく変化が起こるでしょう。そして、長期的には中国の内部にも変化が起こり、その変化が起こった時には中国の政治体制が変わる可能性も増えるでしょう。

Q英政府はBNO(英国海外市民)の資格を持つ香港市民に英国移住の道を開こうとしています。これをどう評価していますか?

これも、また多くの香港人に歓迎される政策です。我々に新たな選択肢を与えてくれました。英国は香港人をサポートし、英国と中国の共同宣言にコミットするという点でリーダーシップを発揮してくれています。私はBNOの資格がない23歳未満の人々も含まれるよう対象の拡大を提案したい。さらに若い学生たちが英社会に恩返しできるようにさらなる奨学金を設置するなどしてほしい。

■数十年かかる長い戦い。多国間で結束を

Q繰り返しになるかもしれませんが、日本や欧米諸国にはどのような対応を期待しますか?

正直なところ、数十年かかる長い戦いであるとみています。現時点では、国際社会は中国に対し厳しい態度を取る必要があると思います。これまでには融和的な戦略、中国の政治を完全に誤解した戦略がありました。しかし、各国が(中国から)経済的恩恵を得られるからといって、人権侵害を無視すべきではないことは明確です。そして、多国間で結束し、一貫した態度を示すべきです。今のところ、国際社会は一致しています。英国やヨーロッパ、さらには日本や韓国のようなアジアの民主主義国でさえも。非常に重要な最初のステップであり、それに向かって取り組んでいると思います。


Q中国に対する欧米諸国のスタンスは変わってきていますか?

はい。もちろん。特に英国では過去数か月で劇的な変化が見られました。ファーウェイ製品の取り扱い禁止、香港人のためのBNO計画、犯罪人引渡停止などがあります。ですから、変化を促進することは重要で、民主主義国家間の協力も必要です。私の擁護活動がこれらの目標を達成し、中国に対し責任を追及することができることを願う。

Q日本には何を求めますか?

習近平国家主席の招待を中止することで、国際社会に重要なメッセージが伝わります。香港と親しい関係にある日本は、アジアの中でリーダーシップを発揮し、民主的価値を維持し、権威主義的拡大の封じ込めと闘うべきです。

Q:日本を訪問する予定は?

今のところありません。実はデモに参加した事で犯罪歴がついたため、(以前)日本入国の際に嫌な経験をしたのです。入国の際に何時間も質問されました。けれど、日本はとても好きで、何度か行ったことがありますよ。

Q:今、身の危険を感じますか?

英国は基本的に安全です。しかし、香港市民は早朝に何の前触れもなく突然逮捕されることを常に心配しているのです。彼らは確実に重大な危険にさらされている。私の使命はそれらに国際的なスポットライトを当て、政府が恣意的な拘束を行う事を考え直すようにする事です。