岸田首相、ウクライナを電撃訪問 政府関係者「中国の前に行かないとみっともない」中露会談の真裏で...ゼレンスキー氏と会談
G7首脳で唯一ウクライナを訪れていなかった岸田首相が、首都キーウを電撃訪問。5月の広島サミット前の訪問を探っていましたが、国会や選挙の日程を考慮して、インドへの外遊後に実現させました。戦闘の激化や、中国の訪問の可能性も意識されたようです。
有働由美子キャスター
「岸田首相はなぜ、このタイミングでウクライナを訪問したのでしょうか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「日程を見てみると、5月19日から広島サミットなのでその前には行きたい。ただ5月中に行くのでは直前過ぎますし、4月は統一地方選や衆参の補欠選挙もあります」
「では3月に国会がない日はというと、21日が祝日で翌22日も国会で首相が出席しなくていい日でした。キーウに行って帰ってこられるチャンスがありました」
「こんな要因もあります。ある政府関係者は『ウクライナには、ヨーロッパ各国から戦車も届き始めていて、4月になると戦闘が激化する可能性が高い』。だからその前の3月に行きたいということです」
「別の政府関係者は『(中国の)習近平国家主席がウクライナに行く可能性もある。その前に行かないとみっともない。習主席がウクライナに行って和平を仲介するという話になれば日本は立場がない』と明かします」
有働キャスター
「結果として、習主席が(ロシア・)モスクワでプーチン大統領と会談している真裏で、岸田首相がゼレンスキー大統領に会うということになりました」
小野委員
「中国とロシアが連携を強める中、西側ではG7の結束が大事です。日本は今、G7の議長国。政府関係者によると、岸田首相はキーウに到着した際『議長としてG7の強い決意を示すために来た』と現地の日本の大使に話したそうです」
「(G7の)首脳らは皆、既にウクライナに赴いて現地を歩き、ゼレンスキー大統領と直接話してきた人ばかりです。岸田首相は議長として議論をリードするのに、『私は行っていないのですが…』だと説得力がありません。岸田首相自身、そう考えました」
「そして自分がゼレンスキー大統領を招いてくる、またはオンラインで招くことを考えています」
有働キャスター
「ゼレンスキー大統領との会談では具体的には、どのようなことが話し合われるのでしょうか?」
小野委員
「日本がウクライナに、具体的に直接どんな支援を表明するかです。各国首脳はキーウを訪れた際、支援を表明しています。小銃・弾薬(カナダ)や防空システム(イタリア)など、多くが具体的です」
「日本は防衛装備移転三原則があり、殺傷能力のある武器は供与してきていません。ゼレンスキー大統領もそこは分かっていて、日本には人道支援と復興支援を求めています。この分野で、どのぐらいの額のどういった支援を表明するかが注目点です」
有働キャスター
「今回の電撃訪問をどう見ていますか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「岸田首相がウクライナを訪問したことで、ロシア側からすると、日本に対して一段階厳しい見方になるのは確実です」
「それが、これからの北方領土をめぐる情勢にどう影響するのかが気になっています。例えば、(ロシアが)けん制するように爆撃機を飛ばしてきたことも非常に怖いなと思っています」
「プーチン大統領と習主席が会うことはどちらの陣営からも織り込み済みだと思いますが、これからのパワーバランスがどうなっていくか。中国が和平の架け橋になることは、今の動きを見ると、しばらくはないのではないかなと思います」
(3月21日『news zero』より)