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月間取引額2億円近くの作品も――韓国マンガ“躍進のワケ” 徹底した「ローカライズ」で海外市場に挑戦

2024年1月8日 10:00
月間取引額2億円近くの作品も――韓国マンガ“躍進のワケ” 徹底した「ローカライズ」で海外市場に挑戦
韓国マンガの「ローカライズ」 (左)韓国向け (右)日本向け

海外でも人気のある韓国を代表するものというと、K-POPやグルメ、化粧品などをすぐに思い浮かべる人も多いと思う。それら以外にも今、韓国のあるものが、海外で伸びを見せている。それは「マンガ」。なぜ韓国マンガが伸びているのか? その背景を探ってみた。

■韓国マンガ 月間取引額1.8億円超の作品も

韓国オンライン向けマンガ大手の「NAVERウェブトゥーン」は、2023年12月、同社が保有するオリジナルマンガのうち、3本が日本での月間取引額1億円を超えたと発表した。

中でも、日本のオンラインマンガアプリ「LINEマンガ」で連載中の「入学傭兵」は、月間取引額が1億8000万円を超え、「LINEマンガ」の単一作品としては最大規模を記録したという。

「NAVERウェブトゥーン」では、こうした韓国マンガの好調さを背景に、23年の日本での取引額が初めて1000億円を超えたと明らかにしている。

なぜ今、韓国マンガが伸びているのか。コロナ禍の巣ごもり需要も関係しているとみられるが、韓国マンガの強みを「NAVERウェブトゥーン」の担当者に聞いた。

「NAVERウェブトゥーン」は、韓国のIT大手「NAVER」のグループ会社で、17年に法人を設立。オンライン向けのマンガを主な事業としている企業だ。

韓国でオンライン向けマンガは、「ウェブ」と、英語でマンガを意味する「カートゥーン」を組み合わせた造語「ウェブトゥーン」と呼ばれている。

「NAVERウェブトゥーン」の広報担当者に話を聞くと、韓国マンガの強みや海外に展開するときの“ある工夫”について教えてくれた。

まず、なんといっても「縦読みスタイル」だという。横読みのマンガが主流の中、スマートフォンなどのモバイル端末での読みやすさを追求したのが、「縦読みスタイル」だという。

さらに、1話が3~5分で素早く、手軽に見られるようになっていることも強みだとしている。

また、海外展開する際には「ローカライズ(現地化)」に注力している。例えば作画で出てくる看板を、その国で日常的に見られるような看板に変えたり、物語の中で使われているお札や硬貨を、それぞれの国のものに変更したりする。国によっては、肌の色や服装まで変えたり、宗教に敏感な国では背景を変えたり。細やかな心配りをしているという。

■韓国マンガを支える“マンガ会社”

そんな韓国のウェブトゥーン業界を支えるのが、制作会社の存在だ。その代表格のひとつが「パク・テジュン マンガ会社」。

職員120人ほどのこの会社は、オンライン向けマンガの制作などで年間約16億円を売り上げている。作品のほとんどが海外市場に展開され、日本、タイ、台湾などのアジア圏から、ヨーロッパやアメリカなど幅広い地域で読まれている。

韓国メディアによると、このような制作会社は1000社以上もあるという。

■政府も「韓国マンガ」支援に本腰

成長を続ける「韓国マンガ」に韓国政府も目をつけ、さらなる発展のため国が支援していくいことを表明している。

“マンガといえば日本”というのが海外でも長らく定説となっていたが、それが変わる日が来るのか。拡大を続ける「韓国マンガ」から今後も目を離せそうにない。