北制裁専門家パネル活動終了…監視弱まる懸念も 日本人元委員
北朝鮮に対する制裁の履行状況を調べてきた国連安全保障理事会の専門家パネル。先月末に15年におよぶ活動を終えましたが、その最後のメンバーに取材しました。
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ロシアによる拒否権の行使で活動を終えることになった北朝鮮制裁の「専門家パネル」。その唯一の日本人委員として制裁違反を調査していたのが須江秀司さんです。活動終了で北朝鮮に対する監視が弱まる可能性を指摘しました。
北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員・須江秀司さん「(北朝鮮の)安保理違反事例というのは継続しているわけです。北の大量破壊兵器開発につながるような資金の流れとかいったものは今後も続いていくのではないかと考えています」
ロシアの拒否権行使についてロシアが北朝鮮から武器を調達していることに専門家パネルがメスを入れたのが引き金だったのではと須江さんは話します。
須江秀司さん「ウクライナで見つかった北朝鮮製の短距離弾道ミサイル。この辺に関しまして、ロシアサイドからの強い抵抗を個人的に感じました。」
国連外交筋によると専門家パネルは、ウクライナ東部に今年1月着弾したミサイルを北朝鮮製と断定。安保理決議違反にあたると指摘したということです。
ウクライナメディアによると、ミサイルからは欧米や日本メーカーの名前が書かれた部品が見つかったということです。
写真には「JAPAN」の横に大手機械製造メーカー、「NSK」の文字が。しかし日本精工(NSK)は本物と刻印が異なるとして「偽物」と断言しました。
須江秀司さん「北朝鮮の調達活動の中で、日本製だといってフェイクをつかまされて調達したのか。調達ネットワークを解明して撲滅することが重要だと考えております」
ロシアなどによる制裁破りの横行が懸念される中、日本やアメリカなどは専門家パネルに変わる新たな組織の設立も模索しています。