緊迫のガザ地区…病院で爆発も 国境なき医師団スタッフ「戦争にもルールがある中で憤り」
イスラエルと、ガザ地区を実効支配するイスラム組織「ハマス」との間で緊張が高まる中、ガザ地区にある病院が爆発し、多数の死傷者が出ました。国境なき医師団のスタッフは「今、ガザで起きていることは本当に地獄のようなこと」と話しています。
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17日夜、イスラム組織「ハマス」の拠点、パレスチナ自治区のガザ地区でミサイルが飛ぶような音と、巨大な爆発が撮影されました。爆発があったのは病院です。激しく燃え上がる炎が確認でき、地面にはがれきが散乱しています。
ハマス側の発表によると、ガザ地区北部にある病院がイスラエル軍の空爆を受け、これまでに500人以上が犠牲になりました。直後の病院周辺では、救急隊員や市民が遺体を運び出す様子が見られました。
爆発があった病院とは別の病院は、ケガをした人たちであふれかえります。病院はまともな治療を提供できる状態ではなく、ケガの処置はベッドの上ではなく床の上。病院が爆発して傷つくのは、子どもを含む多くの民間人です。
一方、イスラエル軍は18日、新たな映像を公開。この爆発への関与を否定し、ガザ地区の過激派「イスラム聖戦」が発射したロケット弾が誤って病院を直撃したものだと反論しました。
国連は責任の所在を明らかにするよう求め、「暴力と殺りくを一刻も早く止めなければならない」と強く非難しています。
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こうした中、国境なき医師団のスタッフとしてガザ地区に滞在している白根麻衣子さんは次のように話しています。
国境なき医師団スタッフ 白根麻衣子さん
「(これまでも)病院の周りが空爆されて、医療施設や学校は攻撃対象にならないという(場所)。戦争にもルールがある中で憤りを感じる。今、ガザで起きていることは本当に地獄のようなこと。本当に無差別に一番被害を受けているのは、一般市民。避難する場所がありません」
そして、ガザ地区南部へ避難したという学生は「攻撃をやめて」と訴えています。
ガザ地区南部に避難 学生(27)
「避難所には50万人くらいの難民がいて、あちこちで攻撃が起きている。情報も物資もない。未来がどうなるかわからない。今は安全が一番ほしい。攻撃をやめてほしい」
ガザ地区とイスラエル双方の死者数はあわせて4400人以上に上っています。(ガザ地区3000人以上 イスラエル1400人以上)
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イスラエル情勢が緊迫の一途をたどる中、ガザ地区から1キロほどの街、イスラエルのスデロットを取材しました。
17日、街にあるシェルターの目の前から記者が「news zero」の中継を行いましたが、その直前にガザ地区からミサイルが飛来したのです。
鈴木あづさ記者
「シェルターの中に避難しました。今、上空をロケット(ミサイル)が飛んだ音がしました。この街では15秒しか避難する時間がありませんので、中継場所から15秒間、今シェルターの中に避難しました」
地元自治体は2発のミサイルが街に着弾したとして、写真を公開。記者は中継の後、安全な街まで避難しました。
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そして18日、アメリカのバイデン大統領がイスラエルに到着しました。
イスラエルのネタニヤフ首相との会談では、軍事支援や人質の解放、ガザ地区への人道支援などについて協議されます。また、バイデン大統領は、ハマスの攻撃による犠牲者の遺族や、ハマスに拘束されている人質の家族らと面会するということです。