悲劇も…米野党・民主党バイデン氏の素顔は
アメリカ大統領選挙に向けた野党・民主党の党大会が開幕し、バイデン氏が正式に大統領候補に指名されます。華やかな経歴の裏で、悲劇に見舞われ続けたバイデン氏の素顔とは。
◆民主党の大統領候補指名へ
日本時間の18日に開幕した民主党大会。本来であれば、全米から集まった数千人の党員が一堂に会す盛大なイベントとなるはずでしたが、新型コロナの影響で、今年は異例のオンライン開催に。初日は、オバマ前大統領の妻ミシェル氏が応援演説に登場しました。
ミシェル・オバマ氏「彼は経済を救い、新型ウイルスの大流行を食い止め、国を導くために何が必要かを知っている」
この党大会で、正式に民主党の大統領候補に指名されるバイデン氏。温厚な外見からは想像できない苦難の人生を歩んできました。
黒人として初めてアメリカ大統領となったオバマ氏を支え、今回は、黒人女性であるハリス氏を副大統領候補に抜擢(ばってき)したバイデン氏。「多様性」を重視する姿勢の原点は地元にありました。
◆地元での経験が「多様性」理解へ
バイデン氏の地元、東部デラウェア州。19歳だったバイデン氏のアルバイト先は、所得の低い黒人が多く住む地域にあるプールでした。
そこでバイデン氏と出会ったスミスさん(71)は、このプールでの経験を通じてバイデン氏が「多様性」への理解を深めていったといいます。
60年来の友人 スミスさん「ここで働いたことで、バイデン氏は黒人がどう考え話すのかを理解するようになったと思う。私は素行の悪い子供だったが、彼は私の教育や生活を気にかけてくれた。彼は人を肌の色ではなく中身で判断している」
40年を超える政治キャリアを持ちながら、親しみやすさが売りのバイデン氏。長年通い続ける地元のレストランでも。
地元のレストラン店長「バイデン氏は相手がどんな肌の色であれ自分から話しかけていく。本当にいい人だよ」
そんなバイデン氏がこれまでに150回以上頼んだお気に入りのメニューというのが、バニラアイスとチョコレートをふんだんに使ったあまーいシェークです。
◆人生に悲劇の連続…ハリス氏起用に亡き長男
一方でバイデン氏の人生は、悲劇の連続でもありました。
29歳の若さで上院議員に初当選した直後、交通事故で妻と当時1歳だった長女を失い、生き残った2人の息子も重傷を負いました。バイデン氏は議員就任の宣誓式も息子の病室で行い、息子たちの世話のため、自宅から片道2時間かけてワシントンの議会に通い続けました。
その後、回復した長男・ボー氏は、地元デラウェア州の司法長官に就任。しかし、ここでも再び悲劇がバイデン氏を襲います。ボー氏は脳腫瘍を患い、46歳の若さで亡くなったのです。
地元のレストラン店長「『多くの家族を失ったのに自分が生きていることが信じられない』と言っていたよ」
実は、闘病中のボー氏をメールで励まし続けていたのが、別の州で、同じく司法長官を務めていたハリス氏だったといいます。
バイデン氏(12日)「私はボーを通じてハリス氏を知った。ボーは彼女をとても尊敬していた」
ハリス氏と息子の信頼関係がハリス氏起用の後押しとなったと明かしています。
多くの苦難に見舞われた末、ついに大統領候補にのぼりつめたバイデン氏。トランプ大統領との論戦がいよいよ本格化します。