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新型コロナで大打撃 タイの宝石ビジネス

2020年9月18日 5:30

辛い料理やビーチリゾートなどで知られる東南アジアのタイ。そのタイが世界的な宝石産業国なのをご存じでしょうか?いまタイの宝石ビジネスが、新型コロナウイルスによって大きな打撃を受けています。

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タイ南東部のチャンタブリ県。宝石の産地であるここは、取引がさかんに行われるいわば“宝石の街”です。チャンタブリでよく採れる宝石を聞くと―。

チャンタブリの宝石商「ルビーですね。そしてイエローサファイアが有名ですよ」

三大宝石のルビーとサファイア。特に、イエローサファイアは世界屈指の品質だといわれています。

タイの宝石採掘は15世紀頃から始まり、良質な宝石の産地として世界でも知られるようになりました。多くの宝石鉱山で採り尽くしてしまったということですが、一部ではいまも昔ながらの方法で採掘が行われています。

宝石を採掘する人「これがサファイアだよ」

無数の石の中から見つけ出された宝石。

タイでは宝石を磨く技術に優れた職人が多く、そのためタイ以外の国からもさまざまな石が集まってくるといいます。

毎週末開かれる宝石市場には、日本も含めた世界各国の買い付け人が訪れ、大量の宝石の取引が行われてきました。しかし、厳しい水際対策により、海外からの買い付け人がほとんど入ってこられないのだといいます。

宝石商「状況は悪くなる一方です。収入が激減しました」

宝石はタイの重要な輸出産業の一つですが、今年の輸出量は去年に比べ40%近く落ち込む見通しです。

さらに、宝石ビジネスに打撃となったのが、新型ウイルスによる先行き不安などで起きた、世界的な金の価格の高騰です。

私たちは、バンコクで日本人が経営するジュエリー工房を訪ねました。

この工房で熟練の職人が作り出すジュエリーは、日本に輸出され、百貨店などで販売されています。

新型ウイルスの感染拡大で日本の百貨店などが一時的に閉鎖されたため、3か月にわたり受注がストップしたといいます。

ようやく再開したところに直撃した、金の価格高騰。

ジュエリー工房『choco』・吉澤俊社長「(ジュエリーの)原材料が金なので、仕入れにいつもよりお金がかかるのが痛い。単純に利益を圧迫するという状況ですね」

自分の給料をカットせざるを得ないと話す吉澤社長。

しかし、厳しい時だからこそ、人の心を明るくするようなジュエリーを作り続けたいと話します。

吉澤社長「ジュエリーは大切な人から大切な人へのプレゼントだったり、自分へのご褒美だったり、受け取った人に喜んでもらえるジュエリーであってほしいですね」

新型ウイルスの影響を今後、どのように乗り越えていくのか。タイの宝石ビジネスは正念場を迎えています。