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イルカやウミガメ“本来の姿”に…理由は?

2020年11月25日 18:47
イルカやウミガメ“本来の姿”に…理由は?

新型コロナウイルスで、観光客が激減したタイのリゾートで、野生生物にある変化がみられています。

世界中から観光客が訪れる、タイ南部のリゾート、プーケット。

カメラの前に現れたのは、イルカの群れです。上空からの映像には、身を寄せあうように泳ぐ姿が映っていました。

さらに、今年9月の映像では…。

「近っ!こんにちは!うわーイルカ!」

プーケット本島の近海で、これほど近くで、みられるのは珍しいといいます。

チャーター船を手配した観光業者「こうやって、私たちの前に姿を見せることが多くなっています」

実は、こうした現象の背景にあるのは、新型コロナウイルス。タイ政府の厳しい入国制限により、海外からの観光客が激減したことで、生態系が本来の姿を取り戻しつつあるといいます。

変化はほかにも。私たちが先週末、タイ海洋当局の職員と一緒に向かったのは、夜のビーチです。柵でおおわれているのは、ウミガメが産卵した場所。貴重な卵をこうして保護しています。

このビーチでは去年、産卵は確認されませんでしたが、今年は今月だけで、3か所で産卵を確認。

プーケット海洋生物研究所 コンキアット所長「(コロナの影響で)環境が元に戻り、明かりも人間の活動も少なくなったので、ウミガメが産卵に来ている」

その一方で、深刻な状況にあるのが、タイのGDPのおよそ2割をしめる観光業。プーケットの中心部、パトンビーチでは、通りのお店は多くが閉まり、人通りもほとんどありません。

地元のレストラン「お客さんはゼロです。どうすればいいのか分かりません」

政府もプーケットを盛り上げようと、「ビーチが利用できる隔離プラン」などの政策を提案。海外から観光客を呼び込もうとしましたが、地元住民からは慎重な声が…。

地元の理髪店「コロナ終息後に国境を開けた方がいい、感染者が増えたら大変だから」

新型ウイルスは、タイが誇る美しいビーチに、生態系本来の姿を取り戻した一方、経済には深刻な影響を及ぼしています。