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韓国・文在寅政権“検察の権限縮小を強行”

2020年12月11日 11:45

韓国の国会では10日、政府高官らの不正を捜査する新たな独立捜査機関を設置するための法案が可決・成立しました。文在寅政権と検察の対立が深まる中で、検察の権限縮小を強行した形です。

韓国国会の本会議では10日、政府高官や国会議員らの不正を捜査する「高位公職者犯罪捜査庁」(公捜庁)を設置する法案が与党の賛成多数で可決・成立しました。犯罪捜査庁は文在寅政権が進める検察改革の柱で、政府高官らに対する捜査権限を検察より優先して持ち、検察の捜査権限を縮小させるものです。野党側が反発して発足が遅れていましたが、政権与党側が押し切り、年明け早々にも設置される見通しになりました。

法案の成立を受け、文大統領は「腐敗なき社会に進むための長年の宿願で、国民との約束だ」と強調した上で、「遅くなったが、約束を守れて感慨深い」とコメントしています。

犯罪捜査庁のトップには、政権の意向が反映された人物が就くとみられることから、野党や文政権に批判的な保守系メディアからは、中立性を疑問視する声が上がっています。

一方、韓国法務省は10日、検察改革に反発してきた尹錫悦検事総長の処分を決める懲戒委員会を史上初めて開きました。委員会には尹総長本人は出席せず、代理人の弁護士が参加し、非公開で行われました。

尹総長側は、出席した委員5人のうち4人が、懲戒を請求した秋美愛法相寄りだと指摘し、「忌避」を求めましたが、棄却されました。結局、処分の結論は出ないまま、審理は来週15日に持ち越されました。

韓国メディアは「尹総長に解任や停職など重い処分が出される」との見通しを伝えていて、文政権と検察の攻防は山場を迎えています。