ロシア、マリウポリに執着…理由は「アゾフ連隊」か 8年前も“防衛”し英雄視? 専門家は
10万人がが避難を待っている状況だという、「陥落間近」のマリウポリ。なぜ、ロシアはマリウポリにこだわるのでしょうか。地理的な理由以外に、ウクライナの治安組織「アゾフ連隊」の存在が…。その実力などについて、専門家に話を聞きました。
◇
ウクライナの治安組織「アゾフ連隊」は、南東部マリウポリで「毒物が使われた」と訴える映像を公開しました。
被害に遭ったとされる男性
「ガスマスクをつけたが、とても気分が悪くなって、息苦しかった」
アゾフ連隊司令官は、動画内で「攻撃の中心地点は、人々から離れていたので、(有毒)物質との接触は最小限で済みました」と述べていました。
8日には、ロシア軍の装甲車を攻撃したとする動画をSNSに投稿しました。ウクライナ軍とともにマリウポリで抵抗を続けています。
「アゾフ連隊」の実力について、ウクライナ研究会会長で神戸学院大学の岡部芳彦教授に話を聞きました。
岡部教授
「だいたい1000人前後といわれてまして、装甲車両とか一部、戦車も保有している。ドローンも活用して、現在のマリウポリの戦闘に臨んでいます」
そもそも、アゾフ連隊は、2014年、ウクライナ東部で暫定政権側と親ロシア派の武装勢力が衝突した際、マリウポリを守った義勇兵グループのひとつです。極右的なメンバーが多く、人を傷つけるなどのトラブルもあった一方で――
岡部教授
「(2014年に)マリウポリを守れたのは、『アゾフ大隊(連隊)』のおかげという声も多かったですね。非常に英雄視をされている面がある。国民全体も、ロシアに対抗するシンボリックな部隊でもあります」
その後は国の管理下に置かれ、国家に忠誠を誓う「親衛隊」へと変化しました。ロシアからは「ネオナチ」として“敵視”される存在となりました。
例えば、ウクライナ側が「人道回廊による住民避難がロシア軍によって妨害されている」と批判すると、ロシアの国連大使は、「ウクライナのネオナチ過激派が、民間人を盾にして、都市から出られないようにしている」と発言し「避難が進まないのはアゾフ連隊の責任だ」としました。
また、約300人が犠牲となったマリウポリの劇場への空爆についても、ロシア防衛省は「アゾフ国家勢力部隊による挑発行為だ」と、攻撃したのは「アゾフ連隊だ」と主張しました。
8年前のように、マリウポリを守りきることはできるのか、岡部教授は「『アゾフ連隊』も聞くところによると、一度しか(物資など)補給を受けられていない。かなり厳しい状況ではないかなと」と述べました。
(4月13日放送『news zero』より)