北朝鮮 アニメ制作で外貨獲得を狙う
知っておきたいデータや情報をひもとく「input」。今回は、ひと味違った切り口から北朝鮮の今に迫る“NKウォッチ”、「北朝鮮のアニメ事情」について。日本テレビ国際部の瀧口記者に聞いた。
今年、日本ではアニメ「鬼滅の刃」が大変話題になりましたが、実は北朝鮮にもアニメはあって、国営テレビで放送されています。今日は、日本ではあまり馴染みのない北朝鮮アニメについて紹介したいと思います。まずはこちらをご覧ください。
――なんだか懐かしい感じですね。
そうですよね。雰囲気がちょっと古くて、一昔前のアニメという感じがしますね。実際、これは1980年代に始まった番組なのですが、人気があるようで今も再放送されています。「賢いタヌキ」という作品で、動物たちが一緒に遊んだり何かに挑戦したりするストーリーを通じて、子どもに科学の知識などを教える教育番組です。では次はこちらをご覧ください。
――キャラクターが立体的で動きに迫力がありますね。今時のアニメという印象を受けました。これも北朝鮮で作られたものなのですね?
はい。2017年に放送が始まった「高朱蒙」という作品です。北朝鮮では最初に見ていただいた「賢いタヌキ」のような、少し古いアニメも放送されていますが、それだけでなく、このようなCGを使った現代的な作品も作られているのです。ここ数年、こうした現代的なアニメが作られるようになった、一つのきっかけと思われるのがこちらです。
これは以前、金正恩委員長がアニメの制作現場を視察した時の様子です。北朝鮮メディアによりますと、この時、金委員長はアニメ制作の近代化、コンピューター化を進めて、北朝鮮を世界屈指のアニメ大国にする必要がある、と述べたということです。
――金委員長自らそうした指示を出すということは、何か理由があるのでしょうか。
アニメを輸出産業として成長させたい、という思惑があるのかもしれません。
韓国政府などによりますと、北朝鮮は1980年代から、ヨーロッパなど外国のアニメ作品の制作の下請けを行っているということです。その高い技術と安い人件費で国際的に競争力があると指摘しています。金委員長が自ら現場を視察して、アニメ大国を目指すと述べた背景には、経済が低迷するなか、アニメ制作を、貴重な外貨獲得のための一つの手段として、今後発展させていく狙いもあると考えられます。その北朝鮮では来月、朝鮮労働党の党大会が開かれます。経済の立て直しに向け、どのような方針が示されるか注目されます。
【the SOCIAL inputより】