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バイデン政権誕生!イランとの緊張緩和は?

2020年12月29日 7:14

アメリカでバイデン新政権が始動する2021年。新政権の発足で大きく動く可能性があるのがイラン情勢だ。

イラン核合意から離脱し、経済制裁を再開・強化したトランプ政権。2020年初めにはイランの精鋭部隊、革命防衛隊の司令官殺害をきっかけにアメリカとイランの緊張は最高潮に達した。

しかし、そのトランプ大統領が表舞台から姿を消す。これにはイランのロウハニ大統領も「トランプ大統領の退任は喜ばしい」と述べるなど、喜びを隠さない。

バイデン次期大統領は核合意への復帰を口にするなど、トランプ大統領に比べイランに融和的とみられ、イランとの緊張緩和が進む可能性もある。

■早くもバイデン次期政権へ揺さぶり?
そんな中、2020年11月末、イランの核開発で中心的な役割を担ってきたとされる科学者が暗殺された。敵対するイスラエルの関与が取りざたされていて、バイデン新政権と接近するのを阻止するためにイランを挑発したとの見方もある。ロウハニ大統領らは報復を警告したが、今のところ、自制している。

しかし、事件を受けて、国内の保守強硬派が主導し、政府に核開発の強化を義務づける法律が成立した。ロウハニ大統領に圧力をかけるとともに、バイデン新政権に揺さぶりをかける動きとみられる。

■“イラン包囲網”でけん制も
周辺国にも動きがみられる。アラブ諸国で相次いだイスラエルとの国交正常化だ。パレスチナ問題をめぐって長年対立してきた両者の関係改善は、世界に驚きを与えた。

一見すると、イラン情勢とは無関係に思えるが、実はイスラエルとアラブ諸国、特にUAE(=アラブ首長国連邦)やバーレーンにとって、イランは“共通の敵”。国交正常化は“イラン包囲網の強化”でもある。連携してイランへの圧力を強める姿勢をみせ、バイデン政権がイランへの融和政策に容易に踏み切れないよう、布石を打っているとみることもできる。

周辺国も巻き込みながら、バイデン新政権の誕生を前に中東ではすでに神経戦が始まっているのだ。

■反米の保守強硬派勝利か イラン大統領選挙
こうした中、2021年6月にはイランで大統領選挙が行われる。国際社会との融和路線をとってきたロウハニ大統領の後任を選ぶ選挙だ。

イラン国内では反米の保守強硬派が勢力を強めていて、大統領選挙に勝利すれば、アメリカとの緊張緩和は一層遠のくことになるだろう。ただ、制裁下のイランでは物価高が市民生活を直撃していて、反米を強めることで国際社会から孤立すれば、さらに苦境に立たされることが予想される。

そうした中、どのような結果が出るのか、この先数年の中東の行方を占う重要な選挙といえるだろう。

トランプ大統領のアメリカは同盟国のイスラエル、サウジアラビアなどと良好な関係を築く一方、イランと激しく対立し、中東地域に緊張をもたらした。

バイデン次期大統領の登場は、こうした状況に劇的な変化をもたらすのか。2021年が極めて重要な1年になるのは間違いないだろう。

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