「選挙の正当性」巡り深まる対立 2年前の大統領選敗北認めない“選挙否定派”は… アメリカ中間選挙
11月8日に行われるアメリカの中間選挙。直前の週末には、バイデン大統領とトランプ前大統領が同じ激戦州に入り、舌戦を繰り広げました。今回の選挙では「負けたら、結果を受け入れない」と示唆する“選挙否定派”も多く立候補していて、その勝敗が注目されています。
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5日、アメリカ東部・ペンシルベニア州にある空港で、人々が続々と滑走路の近くに集まってきました。演説の5時間以上前から支持者が詰めかけ、トランプ氏の演説を待っていたのです。トランプ氏が14日にも2024年の大統領選挙への出馬表明を検討しているとの報道を受け、支持者らの熱気は最高潮に達しています。
トランプ支持者
「素晴らしいニュースだよ」
「トランプが必要なの」
「もう十分待った。バイデンを追い出すのを応援します!」
多くの報道陣が待ち構える中、1機の飛行機が着陸しました。機体には金色で「TRUMP」の文字が描かれた「トランプ・フォース・ワン」と呼ばれるトランプ氏の専用機です。トランプ前大統領が専用機から降りると、「USA! USA!」の大歓声に迎えられました。
トランプ前大統領
「もうすぐ、もう少しで、みんなとても幸せになることが起きる」
トランプ氏はこの日も、大統領選への出馬を強く示唆しました。
さらに、バイデン大統領の失言などをやゆする映像を流し、インフレへの対応などを厳しく批判しました。
トランプ前大統領
「私たちは、あと数日で選挙に勝つ! 次の大統領選でも勝つ。あの美しい家(ホワイトハウス)を取り戻すんだ」
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一方、バイデン大統領は同じく5日、同じペンシルベニア州でいまだ根強い人気を誇るオバマ元大統領を伴って、演説に登場しました。
バイデン大統領
「2年前、皆さんの投票によってトランプは『前大統領』になり、『選挙で負けた大統領』となったんだ」
さらに、バイデン大統領が訴えたのは公正な選挙の重要性です。
バイデン大統領
「投票は神聖なもので、守られるべき、票はきちんと数えられるべきものだ」
バイデン大統領が訴える理由は、いまだに2年前の大統領選の敗北を受け入れないトランプ派の存在です。
トランプ前大統領
「選挙は不正に行われ、盗まれた。こんなことは二度とさせない」
トランプ支持者
「2年前も票が隠された。不正はいつも心配だ。
「相手の民主党が勝つには、もう不正をやるしかないんだ」
ワシントンポストによると、今回の中間選挙でも野党・共和党候補のうち、約半数の300人近くが「2年前の大統領選の結果は受け入れない」と主張しています。こうした選挙否定派と呼ばれる人たちの中には、「今回の選挙で自身が負けた場合、結果を受け入れない」と示唆する候補もいるのです。
トランプ氏の集会に登場したペンシルベニア知事候補のマストリアーノ氏も選挙否定派の1人です。日本テレビが直撃すると…
Q.勝利に自信は?
マストリアーノ氏 共和党“選挙否定派”
「素晴らしいね。勝利まであと3日だ」
Q.選挙の結果を受け入れる?
マストリアーノ氏 共和党“選挙否定派”
「・・・・・」
再度、質問しましたが…
Q.選挙の結果を受け入れる?
マストリアーノ氏 共和党“選挙否定派”
「・・・・・」
選挙の結果を受け入れるか明言しませんでした。
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さらに、「ハイヒールを履いたトランプ」とも呼ばれるアリゾナ州の知事候補・元キャスターのレイク氏も選挙否定派の1人です。トランプ氏のお気に入りとされ、副大統領候補に推す声も挙がっています。
記者
「選挙結果を尊重しますか?」
“選挙否定派”キャリー・レイク氏
「はい。もちろん。ただし、結果が信頼でき、公正で透明性があるならです」
こうした選挙否定派の中には、大統領選の結果の認定に大きく関わる州知事などに立候補している人も多くいます。当選すれば、仮に次の大統領選でトランプ氏が敗北した場合、結果を認めず、覆そうとする可能性があると指摘されています。
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アメリカでは、民主主義の根幹である選挙の正当性をめぐっても対立が深まっています。中間選挙の結果は、2024年の大統領選に向けても大きな意味を持つことになります。