ウクライナ検事総長ら解任 「脅迫」「お金」… “アメとムチ”で職員がロシア側に寝返り?
ロシアが制圧、支配している地域で、60人以上のウクライナ職員がロシアに協力していたとして、ウクライナのゼレンスキー大統領は、検事総長と保安局の長官を解任しました。専門家は「ロシアの情報機関は、脅迫や身分の保障などアメとムチを使う」と指摘しました。
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有働由美子キャスター
「ロシア軍に破壊された街を訪れ、『戦争犯罪を追及する』と述べていた姿が印象的だったウクライナのベネディクトワ検事総長ですが、突然、ゼレンスキー大統領が解任を発表しました。保安局のバカノフ長官も同時に解任ということで、重要ポストの2人がそろって処分されたわけなんですが、何があったんですか?」
小野高弘・日本テレビ解説委員国際部デスク
「解任された2人の部下にあたる検察や保安局の職員60人以上が、ロシアが支配する地域で『ロシア側に協力していた』というんです」
有働
「協力というのはどういうことですか?」
小野
「例えば、ロシア兵に対する捜査情報やウクライナの治安に関する機密情報といったものを、ロシア側に漏らしていたということが考えられます。こうした情報が漏れると、戦況に重大な影響を及ぼすということを、ゼレンスキー大統領は国民にも知らしめて、引き締めを図ったということになります」
有働
「ウクライナの検察職員などを、ロシア側が取り込んだということですか?」
小野
「そういうことになりますね。では、どういった人が取り込まれたんでしょうか? ロシア政治に詳しい廣瀬陽子教授によると『もともとロシア側に感覚が近くて協力した人もいるだろうし、ロシア側に働きかけられて寝返った人もいるだろう』と話していました」
有働
「どう働きかけるんですか?」
小野
「(廣瀬教授は)例えば、『家族がひどい目にあうぞ』と脅迫して寝返らせたり、お金で釣ったり、『あなたの街が将来、ロシアに併合される際に、あなたをロシアの高官として受け入れる、将来的に身分を約束する』といって取り込んでいく、といったことが考えられるということで、『ロシアの情報機関は、アメとムチを使う』と、廣瀬教授は見ています」
小野
「そして、気がつけばロシア化が進んでしまっている、ということになります。ロシアが支配している地域の内、ウクライナ・南部ヘルソン州では、ロシア主導の『州政府』が業務を始めました。職員はもちろんロシア人です。『ここで生まれたすべての子どもは、自動的にロシア国籍にする』と決められたといいます。この先、支配した地域をロシアに併合するというのが、プーチン大統領の狙いです。そうなってしまう前に、支配を食い止め、取り戻すのが、今、ゼレンスキー大統領の優先課題の一つになっています」
(7月18日放送『news zero』より)