緊迫のウクライナ情勢 ロシアの侵攻に備える国境地帯を取材
北京五輪開幕の一方、ロシアによる侵攻の懸念で、ウクライナ情勢は緊張が続いています。ロシア軍が国境の先で軍事演習を展開する中、ウクライナでは国境地帯で土塁を作り、ロシア軍の侵攻に備えていました。その現場を取材しました。
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ウクライナ北東部の中心都市・ハリコフは、ロシアとの国境から40キロほどしか離れていませんが、公共交通機関も動いていて、街は落ち着いているように見えます。ロシアの侵攻の懸念で緊張が高まる中、国境は今、どうなっているのでしょうか。
日本テレビは、ウクライナ国境警備隊への取材を許されました。ハリコフの中心部から車で30分あまり、雪原の向こうに見えてきたのは、国境近くに立つ監視塔でした。
記者
「高い塔ですね。監視塔が見えてきました」
監視塔のすぐ脇には、兵士が身を隠す塹壕(ざんごう)が掘られていました。
記者
「兵士が監視をする場所は、コンクリートで出来ていて、鉄骨もあります。ドアも非常に頑丈です。中は狭いですが、まきがあり、暖炉で暖をとることもできます」
塹壕(ざんごう)の中には銃を構えるための小さな窓があり開けてみると、そこにはロシアの領土が広がっていました。
ウクライナ国境警備隊 フェリン報道官
「私たちの役割は、ロシアが侵攻してきた際に、ウクライナ軍の主力部隊が到着するまで抑え込むことです」
緊張が高まる国境地帯。さらに、国境のぎりぎりまで近づいてみると、土塁を作ってロシア軍の侵攻に備えていました。
記者
「盛り土のようになっていて、ずっと続いている。ロシアの戦車を防ぐためのもの」
ウクライナは徹底抗戦の構えです。
ウクライナ ゼレンスキー大統領(1日)
「これ以上、領土や国民を失いたくない」
本当にロシアは国境を越えて、侵攻してくるのか。緊張が高まる中、ロシア軍は今週、べラルーシ軍と合同でウクライナとの国境付近での軍事演習を開始しました。
NATO(=北大西洋条約機構)は、「ロシア軍が、ベラルーシに約3万人の兵士を配置したとみられる」と明らかにした上で、「一連のロシア軍の軍事的展開は、冷戦終結以降最大だ」と危機感を強めています。
緊迫した状況はすでに2か月以上続いていますが、緊張緩和の糸口はいまだ見えていません。