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男女格差なし?アイスランド“変革の鍵”は

2021年2月17日 5:40
男女格差なし?アイスランド“変革の鍵”は

男女の格差問題はいまの日本の大きな課題の一つです。世界経済フォーラムの発表では、日本は121位と大きく後れをとっています。一方、1位はというと、実はアイスランド共和国です。その取り組みを後呂有紗キャスターが取材しました。


◆アイスランドは11年連続ジェンダーギャップ指数世界1位

今回、話を聞いたのは、駐日アイスランド次期大使のステファン・ヨハネソン氏です。

後呂キャスター『後呂といいます。お会いできてうれしいです』

ステファン・ヨハネソン氏『私はステファン・ヨハネソンと申しまして、次期駐日アイスランド大使です』

北大西洋に浮かぶ火と氷の国、アイスランド共和国。北海道より少し大きいくらいの国土におよそ36万人が住むアイスランドは、“ゴールデンサークル”といわれる間欠泉のほか、グトルフォスの滝など雄大な自然が多く残されています。

そんなアイスランドは、世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ指数が11年連続で世界1位の国でもあります。


◆アイスランドの取り組み、3つのポイント

──アイスランドは11年連続で女性が最も活躍しやすい国1位。ポイントはどのようなところ?

ステファン・ヨハネソン氏「取り組み自体はたくさんありまして、例えば男女の給料格差をなくす平等な給料の法律ですとか、育児休暇ですね」

主なポイントは3つ。
 ・男女同一賃金
 ・ジェンダークオータ制
 ・育児休暇の平等
です。

一つ目の『男女同一賃金』は、2018年、世界で初めて男女の賃金格差を違法とする法律が施行されました。以前は男性の賃金に対し女性の賃金が84.7%でしたが、現在は95%にまで縮まっています。

また、組織の中に一定数以上の女性を登用する『ジェンダークオータ制度』を導入。取締役員が4人以上の上場企業などは、メンバーの40%以上を女性とすることが定められています。

日本とアイスランドの現在の閣僚の集合写真を見ると、日本では女性は2人ですが、アイスランドでは4人が閣僚に選ばれています。


◆アイスランド社会の“変革の鍵”は「育児休暇」

そして、アイスランド社会の“変革の鍵”となったのが……

ステファン・ヨハネソン氏「2000年に制定した育児休暇の制度です。今の男女平等の価値観というのが、社会全体に行き渡っていくきっかけともなりました」

アイスランドの育児休暇制度では、母親が6か月、父親も6か月、残りの6週間は両親でシェアすることができ、休暇中の給料は税金で8割まで補助されます。

そのため、日本の男性の育休取得率がおよそ7%なのに対し、アイスランドではおよそ86%の男性が育休を取得しています。

一方、女性にとっても働きやすい環境のため、女性の就業率は84%以上に上ります。


◆男性優位の社会だったアイスランド、転換点は

ジェンダーレスが進んでいるアイスランド。そのきっかけとなったのは?

ステファン・ヨハネソン氏「大きな転換期となった出来事があるんですけど、それは1975年の10月24日。アイスランドの90%以上の女性がレイキャビクの広場に集まり、給料格差をなくせというデモンストレーションを行ったのが大きなきっかけだったんです」

実は、アイスランドもかつては「育児や家事労働は女性が担うもの」という考え方で、社会進出や賃金など、男性が優位な社会が続いていました。

その不満は、仕事も家事も一切を放棄する大規模なストライキに発展し、女性の存在感を示すことに成功。その日以降、10月24日は「女性の日」と呼ばれています。

そして5年後の1980年には、世界で初めての女性の大統領が誕生。それまで男性主体だった国会に女性だけの政党も誕生し、福祉や教育、賃金格差など、政策を決める場面に大きな影響を与えているといいます。

ステファン・ヨハネソン氏「男女平等の話をするとき、女性だけでその話を進めるのではなく、ジェンダーバランスというところをきちんと考えなければいけない。そこには、男性の存在が必要不可欠で、男性が積極的に参加することも重要だと思います」