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IAEA理事会 イランへの対応最大の焦点

2021年3月2日 11:29

IAEA(=国際原子力機関)の理事会が1日に始まった。

高濃縮ウランの生産など核合意違反を繰り返してきたイランは、先週からIAEAの査察の制限も始めている。このイランへの対応が理事会の最大の焦点となる。

IAEAのグロッシ事務局長は、理事会初日の1日の会見で「IAEAの査察が、欧米との政治交渉のカードに使われるべきでない」と述べた。これはイランが先週、アメリカの経済制裁が解除されないことを理由に核合意で定めたIAEAの査察や、監視協力などを一部停止したことを踏まえたものだ。

グロッシ事務局長は、先月、イランを訪問し、イラン側が最大3か月間、IAEAの必要とする最低限の協力を続けることで合意していたが、会見ではそのことに言及し、この期間内に核合意の関係国や、アメリカとの協議が進められるのではないかとの期待感も示した。

ただ、核合意の協議をめぐっては、EU(=ヨーロッパ連合)が仲介役となり、アメリカを招く形での非公式会合を提案したものの、イランは先月28日に「応じる時期ではない」と不参加を表明し、一旦、物別れに終わっている。

こうした中で始まったIAEAの理事会では、合意違反を繰り返すイランへの非難決議を採択しようとする動きが水面下で出てきている。ロイター通信によるとイギリス、フランス、ドイツは1日、非難決議のたたき台を、理事国メンバーに配布したという。

一方、イランメディアによると、イランは非難決議が出た場合は対抗措置を取るとIAEAに警告した。この動きに対し、イランの孤立と核合意への悪影響を懸念するロシアのIAEA大使は、SNSで「話し合いを持ち掛けた直後に、非難決議を出そうとするのは間違いだ」と、ヨーロッパの核合意関係国(英仏独)を批判。

グロッシ事務局長は「IAEAの査察活動が、今後も続けられることが重要」と強調し、緊張を高める動きに釘を刺した。

アメリカとイランとの対立の火花がIAEAに飛び火した形だが、多くの理事国がこれまで支持してきた「核合意の維持」と「アメリカの合意復帰」のために、理事会がどのような役割を果たせるのかが注目される。