コロナ乗り越え…ロシア日本人学校で卒業式
ロシア・モスクワの日本人学校で11日、卒業式が行われました。異国の地で新型コロナウイルスに翻弄(ほんろう)されてきた卒業生や先生たち。どうこの1年間を乗り越えてきたのでしょうか。
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11日、モスクワ日本人学校で行われた卒業式。小学部と中学部の13人が巣立ちました。卒業生の一人、小林勇輝さん。モスクワで4年間あまり暮らしてきましたが、特にこの1年は、予期しないことの連続でした。
小林勇輝さん「感謝が多かった1年だったと思います」
去年4月。新型ウイルスの感染拡大を受け、新学期は自宅待機から始まりました。入学式などの行事も、延期。本来なら生徒が学校で受け取るはずだった教科書と課題。校長先生らが手分けして各家庭に配りました。先生も生徒も手探りでオンライン授業を開始。
小林勇輝さん「本当に教室にいる感じで、スイッチが入りますね。勉強やる気になると思う」
少しずつ「非日常」の生活に慣れていきます。しかし、このころ、ロシアの新型ウイルスの新規感染者は1日およそ1万人。本来の学校に戻るメドは見えていませんでした。どうにか対面授業を再開できないか。学校は6月に保護者あてにアンケートを行ったところ、賛成がわずかに反対を上回ったといいます。
石川賢校長「相当数の方々が不安だと。それを承知の上で、何ができるだろうかと」
さまざまな検討をかさね、最終的に学校は再開を決めました。2か月遅れで始まった対面授業。授業中は、ソーシャルディスタンス。お弁当の時間のおしゃべりも我慢。さらに、毎日放課後には先生が消毒を行うなど感染対策を徹底しました。
小林勇輝さん「全員で力を合わせて取り組んだり、先生もそれに協力してくださったので、そういった場面で感謝はあります」
運動会など一部の行事は中止になりましたが、学習発表会や修学旅行などは感染対策をして何とか実施にこぎ着けました。そして、ようやくたどり着いた卒業式。みなで支え合ってきた1年が終わろうとしています。
小林勇輝さん「私はこれからの人生で壁にぶつかることが何十回、何百回あると思います。しかし、モスクワで学んだこと、経験したことを全てを自信に変えてこれからも新しい道を歩んでいきたいと思います」
折しも、この日を最後に、40年間の教員生活に幕を閉じ、帰国する石川校長。子供たちに最後のエールを送ります。
石川賢校長「未来に向かって羽ばたく皆さんを思い浮かべ、皆さんの未来が大きく広がり、明日が今日より輝くことを祈ります」
異国の地でコロナ禍を乗り越え、春を迎えようとする子供たち。仲間との思い出を胸に新たな世界へと旅立ちます。