帰国から20年目 拉致被害者蓮池薫氏は今
北朝鮮による拉致被害者蓮池薫さんの兄・透さんは、薫さんが帰国してからの20年目を迎え、「日朝国交交渉20年検証会議」と題するオンライン会議に参加し、北朝鮮から帰国した弟の現状と拉致問題の解決について話しました。
2002年に、北朝鮮から拉致被害者が帰国してから、今年で20年目を迎えます。日朝問題の専門家らが集まり、シリーズで日朝間の交渉を検証するオンライン会議が開かれ、2回目の先月30日の会では、拉致被害者蓮池薫さんの兄、透さんが講演しました。
透さんによりますと、薫さんは、帰国当初は、地元新潟県の柏崎市役所に勤務していたものの、2004年に中央大学法学部に復学し、その後、新潟大学大学院の修士課程を修了しました。いま、新潟産業大学経済学部の准教授になり、大学生に韓国語と韓国文化を教えているということです。薫さんは、北朝鮮で、「特殊機関」とされるところで日本の新聞翻訳業務などを強いられていましたが、24年間の生活を通じて、朝鮮語を習得しました。しかし、韓国と北朝鮮では、アクセントや使う単語が違い、現在、教えている韓国語のアクセントに直すなど、かなり苦労したといいます。かつて北朝鮮で読んでいた北朝鮮労働党機関紙の労働新聞は、インターネット上でも読めるようになっているため、薫さんは、いま自宅でネット版の「労働新聞」を読み、自分なりに北朝鮮情勢を分析しているということです。
膠着状態が続く拉致問題について、兄の透さんは、北朝鮮当局に「解決済み」と言わせない一番の方法は、日本独自で北朝鮮の情報をつかむことだと話し、日本国内での北朝鮮人権侵害問題の啓蒙活動よりも、直接北朝鮮に通じる独自ルートをつくるなど、情報収集に力を入れるべきだと訴えました。