同時多発テロから20年…アフガンの今後は
アフガニスタンで政府軍と戦闘をつづけてきた反政府勢力のタリバンが勝利宣言を行いました。アメリカ・ニューヨークのビルに旅客機が突入するなどしたテロから、もうすぐ20年です。不安と混乱が広がっています。
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ライフルを手にテーブルを囲むタリバンの戦闘員。アフガニスタンの大統領宮殿をタリバンが制圧したのです。
タリバンの幹部は─。
タリバン幹部
「イスラム教徒のアフガン国民、特にカブールの市民や住民とこの大きな勝利を祝福したい」
アフガン政府との戦いで勝利を宣言しました。一方、ガニ大統領は国外に脱出し、政権は事実上崩壊しました。首都カブール市内は車が全く動けないほどの渋滞になり、空港には国外に逃れようと大勢の人が殺到しました。銃声が響く中、我先にと脱出をめざしました。“タリバン政権”の誕生を恐れているのです。
タリバンは25年前、内戦のすえ、アフガンを支配。イスラム原理主義に基づき女性の権利などを大きく制限しました。
しかし、2001年にアメリカ同時多発テロが起きると首謀者・ビンラディン容疑者をかくまったとして、アメリカなどが軍事攻撃。タリバン政権は崩壊しました。
潮目がかわったのは、そのアメリカが、今月末を期限に軍の撤退を進めた事でした。これを受け、タリバンは破竹の勢いで主要都市を掌握していったのです。
アメリカのブリンケン国務長官は─。
アメリカ・ブリンケン国務長官
「アフガン政府軍が国を守れず、予想を超える速さで事が起きた」
AP通信はタリバンが近く、「アフガニスタン・イスラム首長国」の樹立を宣言する見通しだと伝えていますが
アフガン情勢に詳しい慶応義塾大学田中浩一郎教授今後について─。
アフガン情勢に詳しい慶応義塾大学・田中浩一郎教授
「少なくとも彼らの実績の上では、まともな政権はできない。特にマイノリティー婦女子に対して、扱いはきわめて厳しくなる。抑圧的な社会が広がっていくことが最大の懸念」
各国は大使館職員らの退避を急いでいて、日本やアメリカなど60か国以上は共同声明で「すべての人の安全で秩序だった出国」を求めています。