アメリカ「即時停戦」を黙認…変化の背景は? 今後停戦は? ガザ情勢
この先、イスラエルがラファに侵攻するかが焦点となる中、なんとか戦闘を止められないのか。カギとなるのが、イスラエルを支援しているアメリカ。そのアメリカにも変化が出てきています。
■国連安保理 ラマダン期間中の“即時停戦”求める決議を採択
有働由美子キャスター
「国連の安全保障理事会は25日、4月9日頃までのイスラム教の断食月・ラマダン期間中の『即時停戦』を求める決議を採択しました。これまで停戦案は、アメリカの拒否権でたびたび否決されてきたんですが、今回は『棄権』。『即時停戦』を求める決議が採択されるのは、初めてのことです」
「小栗さん、これどう見たらいいでしょうか」
小栗泉・日本テレビ解説委員長
「アメリカは事実上『即時停戦』を黙認したかたちで、『ラファへの地上侵攻だけは止めたいからだろう』と、中東情勢が専門の慶応大学・田中浩一郎教授は指摘しています。というのも、11月のアメリカの大統領選挙が大きく関わっているというんです」
「民間人の犠牲が増え続ける中で、イスラエルを支援するアメリカに対しても国内外からの批判の声が強まっていて、バイデン大統領としても世論を見ながら対応を変えざるをえない」
「強烈なイスラエル支持者であるトランプ氏も、イスラエルに“批判的”になってきているということなので、そこを選挙の争点にさせないように、バイデン大統領も姿勢を変えてきたのだろうということなんです」
有働キャスター
「でも賛成ではなく、棄権なんですね?」
小栗解説委員長
「アメリカとしてはイスラエルを正面から批判しないように『賛成』にはしなかったのだと田中教授は見ています。ただ、この“黙認”にイスラエル側は反発していて両国の溝があらわになっているかたちです」
有働キャスター
「今回『即時停戦』の決議が採択されたとはいえ、これも期間限定となりますと、アメリカとイスラエルに溝ができたときに、本当に停戦が実現できるのでしょうか?」
小栗解説委員長
「田中教授は『停戦できる段階ではない』と話しています」
「安保理としては停戦決議を採択することでイスラエルに圧力をかけているのですが、それでもネタニヤフ首相は無視し続けているんですね。このままだと結局、ラファへの地上侵攻も進める可能性もある、ということです」
■深刻化するガザ情勢… 孤立させないために
有働キャスター
「厳しい状況でなかなか出口が見えないわけですが、辻さん、どう思われますか」
辻愛沙子・クリエイティブディレクター(『news zero』パートナー)
「引き金になったハマス側の大規模攻撃は、変わらず非難されるべきことだと思います。とはいえ、この半年間のイスラエル側の攻撃は、一線を越えているなと感じます。逃げ場を奪い、その上3万人を超える何の罪もない人たちの命を奪い続けている現状は、もはや報復ではなく虐殺と、国際社会から批判されてしかるべきだと思います」
「私自身も傍観しないでありたいなと思いますし、せめて関心だけでも寄せてガザを孤立させないようにしないと、と思います」
有働キャスター
「今回インタビューに応じてくださった国連機関UNRWAの清田明宏保健局長は『ここまで人間の尊厳や生きる希望を奪っていいのか』『国際社会は見捨てていないんだ』ということをガザの人たちに伝えなければ、と強く訴えていました」
「バイデン政権はもっと踏み込んでラファへの侵攻を止めてほしいですし、今こそ、国際社会が結束してガザの人々を見捨てない、という決意を示すときです」
(3月27日放送『news zero』より)