ドイツ総選挙 なぜ「気候変動」が争点に?
総選挙を26日に控えたドイツ。最大の争点は「新型コロナウイルス」ではなく「気候変動問題」対策です。首都ベルリンでは環境活動家のグレタさんがスピーチを行い、政治のリーダーに圧力をかけ続けるよう訴えました。
◆グレタさん、活動を本格的に再開
24日、ドイツで開かれた気候変動問題への抗議活動。環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん(18)がステージの上に姿を現し、大きな歓声が上がりました。
グレタ・トゥーンベリさん「気候変動は緊急事態として扱われてきませんでした。どの政党も(気候変動に)十分な対策を行っていません。路上に出て、リーダーたちが本気で行動してくれるよう要求するべき」
グレタさんは、新型コロナウイルスの影響で縮小していた活動を、本格的に再開させました。
26日に総選挙を迎えるドイツ。“最大の争点”となっているのは「新型コロナウイルス」ではなく、「気候変動」対策です。
【世論調査「最も重要な政治課題」】
環境・気候変動対策………33%
新型コロナウイルス対策…18%
(ドイツARD調べ・今月)
◆気候変動対策が選挙の“最大の争点”になる理由
背景の一つにあるのは、180人以上が死亡した7月の記録的な豪雨です。今週、被災地を訪れてみると、2か月たっても多くのガレキが残され、道だったとみられるところも洪水で完全に流されるなど、いまだ、深い爪痕が残されていました。
住民「次に選ぶ人は、気候変動対策をしっかり実行できる人です」
気候変動問題が選挙の争点となる中、注目されているのが野党「緑の党」。率いるのはベーアボッグ氏(40)です。
べーアボック氏「気候変動対策では中途半端なことはやりません」
石炭火力発電所の早期廃止など急進的な気候変動対策を打ち出していますが、議席数を大きく伸ばすと予測されています。
一方、メルケル首相が所属する最大与党で首相候補のラシェット氏は、洪水の被災地を訪問した際に談笑した姿が撮影され、人気が急落しました。
◆メルケル氏の後任は誰に?「新しい人と新たな時代を」
今回の選挙は、ドイツの首相を16年間務めてきたメルケル氏の後任選びにもつながります。メルケル氏はロシアのプーチン大統領と膝詰めの会談もこなし、トランプ氏とも渡り合うなど、世界のリーダーの中で存在感を示してきました。
メルケル氏の後任には何が求められるのでしょうか。独・ベルト紙の政治担当、ニコラウス・ドール氏は、今後の政治には変化が求められるといいます。
ニコラウス・ドール氏「ドイツ人は安定を好みます。メルケル首相はそのために働きました。これからは新しい人と新たな時代を始めるときです」
直前の世論調査では、メルケル氏の所属政党が支持率で二位に転落。「緑の党」は3位につけ、連立与党入りをうかがう勢いです。
ドイツの今後を占う選挙の大勢は、27日に判明する見通しです。