ドイツ総選挙、「コロナ」より「環境」なぜ
26日に控えるドイツの総選挙では、最大の争点は新型コロナウイルスではなく、気候変動対策になっています。7月には180人以上が犠牲になった記録的豪雨に見舞われ、政治課題として環境への関心が高まっています。現地で被災した有権者に話を聞きました。
■グレタ氏「ドイツは責任ある国」
「変化を起こすために、私たちは環境活動家として行動しなければなりません。変化が可能ということだけでなく、緊急に必要なのです」
日本時間24日午後9時半すぎ、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさん(18)がドイツ・ベルリンで、気候変動問題に対する抗議活動を行いました。
「ドイツは歴史的に大量の二酸化炭素を排出してきました。ドイツは責任のある国の1つです。(私たちは)リーダーたちが本気で気候問題について行動するよう、要求すべき」と声を張り上げました。
■豪雨で被災「気候変動の影響」
ドイツで26日に控える総選挙で、最大の争点となっているのは新型コロナウイルスではなく、気候変動対策です。
ドイツの公共放送・ARDによる9月の世論調査では、「最も重要な政治課題」として「環境・気候変動対策」を挙げた人が33%、「コロナ対策」が18%となりました。
その背景にあるのが、180人以上が死亡した7月の記録的な豪雨です。被災地では豪雨から2か月たっても、まだ多くのがれきが残されています。
川の氾濫で、自宅の前の道が崩れ落ちたという男性に、家の中を案内してもらいました。
男性の頭より高い位置まで水が押し寄せたといい、「とても危険な状態でした」と振り返りました。2階に避難し、一晩中、水が引くのを待ったといいます。
男性は「気候変動の影響の可能性があると思う。事実、ものすごく降水量が多かった。だからこんなにひどい自然災害になった」と語ります。
別の有権者は「次に選挙で選ぶ人は、気候変動対策をしっかり実行できる人です」と言います。
■急進的な対策で注目…「緑の党」
こうした中、注目されているのが野党「緑の党」です。ベーアボック党首は演説で「気候変動対策では中途半端なことはやりません」と訴えます。
石炭火力発電所を2030年までに廃止するなど、急進的な気候変動対策を主張。議席数を大きく伸ばすと予測されています。
一方、最大与党に所属するメルケル首相の後継候補であるキリスト教民主・社会同盟のラシェット氏は「気候変動対策を急ぎすぎてもいけない。産業界に悪影響を与える」などと、緑の党の政策を批判しています。
総選挙の結果は、27日にも判明する見通しです。
(9月24日『news zero』より)