米中首脳会談 ウイグルなど人権問題で溝
アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席が初のオンラインでの首脳会談を行いました。中国国営メディアによると習主席は「台湾の独立を目指すような動きが一線を越えたら、断固たる措置を取らざるを得ない」と警告したということです。
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夜を迎えたホワイトハウスは、静かな緊張感に包まれていました。
オンライン形式で初めて顔を合わせたバイデン大統領と習近平国家主席。冒頭、両首脳はスクリーン越しに満面の笑みで手を振りました。
アメリカ・バイデン大統領
「お会いできてうれしいです」
中国・習近平国家主席
「古くからの友人にお目にかかれうれしい」
会談は“友好ムード”で始まりました。
アメリカ側は、ブリンケン国務長官やサリバン大統領補佐官ら外交キーマンが勢ぞろいする一方で、中国側も、要人との会談に使う人民大会堂に貿易協議の責任者である劉鶴副首相や、外交トップの楊潔チ(竹かんむりの下にがんだれと「虎」)氏、王毅外相らが同席しました。
すると、最初の笑顔から一転、バイデン大統領の表情は真剣なものになりました。
アメリカ・バイデン大統領
「米中の指導者には両国の競争が衝突に発展しないようにする責任がある。米中の二国間関係は率直に言えば、世界全体にも大きな影響を与える」
台湾問題や海洋進出の問題に懸念を示したほか、両国の偶発的な衝突への発展を防ぐ、いわゆる「ガードレール」の必要性にも言及しました。
一方、習近平主席は「相互に尊重し、平和的に共存し、ウィンウィンでなければならない」と述べました。
両国が、気候変動や新型ウイルスをめぐる問題で協力姿勢を見せた一方、台湾問題では、習主席が「台湾の独立を目指すような動きがレッドライン(一線)を越えたら、私たちは、断固たる措置を取らざるを得ない」と警告したということです。
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そして、今回の会談で双方の溝が浮き彫りとなったのが、新疆ウイグル自治区などでの人権問題です。
先週、ホワイトハウス前では、新疆ウイグル自治区からアメリカに亡命した人たちが、抗議の声を上げていました。
アメリカに亡命したウイグル族の市民
「北京オリンピックはボイコットだ!」
来年2月に開催される北京冬季オリンピックへのボイコットを訴えていました。
北京オリンピックをめぐっては、欧米の一部で、ウイグルなどでの人権問題を理由に政府関係者の派遣を見送る「外交的ボイコット」を求める声が上がっています。
アメリカに亡命したウイグル族の市民
「中国を訪れ五輪に参加することは、大量虐殺を支持することにつながる」
中国による「強制労働」が行われていると訴えました。
アメリカに亡命したウイグル族の市民
「太陽光パネルはウイグル族の強制労働で作られ、受け入れられない。これは現代の奴隷制度です」
バイデン政権は、ウイグル産の製品の輸入規制を強化するなど圧力を強めています。
その現場の撮影が特別に許可されました。ニューヨーク近郊の港です。
矢岡亮一郎記者
「こちらにずらっと並んでいるのが、中国から到着した太陽光パネルです。今、まさに検査が行われています」
この税関施設では、規制の対象となるウイグル産の輸入製品を検査しています。
この日は、ウイグルでの強制労働で作られた疑いがあるとして、800枚近くの太陽光パネルの輸入が認められませんでした。ウイグル名産の綿を使った衣料品、トマトなどの摘発も多いといいます。
圧力を強めるアメリカ。バイデン大統領は16日の会談でも、ウイグルなどの人権問題で懸念を伝えました。
一方、習主席は「人権問題を通じて他国の内政に干渉することに賛成しない」と主張しました。
3時間あまり続いた首脳会談。気候変動問題など、グローバルな課題において、協力姿勢を見せた一方で、人権侵害などをめぐっては、依然として平行線をたどっています。