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ロシアでまた“不審死”――政権批判の高級官僚「私たちは皆人質」「アブラムシのようにつぶされる」 侵攻後に39人...共通点は?

2023年5月24日 9:13
ロシアでまた“不審死”――政権批判の高級官僚「私たちは皆人質」「アブラムシのようにつぶされる」 侵攻後に39人...共通点は?

ロシアの高級官僚が、出張から帰る機内で急死しました。友人によると、ウクライナ侵攻を批判し「1年後にはロシアがあるか分からない」などと話していました。侵攻以降、ロシアでは実業家や議員らの不審死が相次いでいます。プーチン政権との関連を考えます。

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■機内で次官が急死...死因は心臓疾患?

有働由美子キャスター
「スーツ姿でクールな表情の男性の写真があります。ロシアの高級官僚で、科学・高等教育省のクチェレンコ次官(46)です。出張から帰る飛行機の中で急死しました」

「ロシアメディアは、死因は心臓疾患だと伝えていますが、友人はクチェレンコさんがウクライナ侵攻を批判していたと明らかにしました」

「クチェレンコさんは46歳。しかも政権を批判していたと聞くと、何か裏にあるのではないかと思ってしまいます」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「その友人も政権に批判的な人で、既にロシアを離れています。国を離れる数日前、クチェレンコさんを訪ねて別れのあいさつをしたといいます。コーヒーを飲みながらした会話について、友人が(無料通信アプリ)Telegram で明らかにしています」

■友人に「自分と家族を守るんだ」

クチェレンコ次官
「去るのか?」

友人
「残念だがそうだ」

クチェレンコ次官
「自分と家族を守るんだ。できるだけ早く出発するのがいい。1年後にはロシアがあるかどうかも分からない」

友人
「君は去りたくないのか?」

クチェレンコ次官
「もう不可能なんだよ。自由に国外には出られない」

友人
「ここでどうやって生きていくんだ?」

クチェレンコ次官
「私たちは皆、人質になっている。すぐにアブラムシのようにつぶされてしまう。君は早く行くんだ」

■大富豪も石油会社会長も...謎の転落死

有働キャスター
「映画のセリフのように怖いですが、実際に交わされた会話だということですね?」

小野委員
「友人はそう記しています。こうなると、誰かに殺害された可能性も否定できないと感じますよね。ウクライナ侵攻以降、ロシアの実業家や議員などの不審な死が相次いできました。アメリカメディアによると、その数は39人です」

「BBCによると、大富豪のアントフさんは去年 12 月、滞在先のインドのホテルで窓から転落して死亡。友人らにバースデーパーティーをしてもらった直後でした。アントフさんは自らのメッセージアプリに、ウクライナ侵攻を批判する内容の投稿があったといいます」

「また大手石油会社のマガノフ会長は、治療を受けていたモスクワの病院の6階の窓から転落死しました。この人の会社がウクライナ侵攻を批判していたとされています」

■廣瀬教授の見方は?...「国内は複雑」

有働キャスター
「政権を批判したことで狙われた、ということですかね?」

小野委員
「あくまで不審死ですから、何があったかは分かりません。これらの死とプーチン政権を結びつける証拠もありません。ただ、こうした大富豪は資金面で政権を支えてきました。その人たちが離れていってはプーチン政権は困ります」

「ロシア政治に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は『政権側があえて不審死に見せかけて、離れるなよと脅しにしていることもあり得る。ただ、政権側の関与に見せかけた、全く別の目的での殺人もあり得る。国内は複雑です』と指摘しています」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「ロシアのこの手の話は戦争が始まる前もあったし、戦争が始まった頃から多くありましたから、今回のことも驚きはしませんでした」

「インドで亡くなった大富豪のニュースは海外の報道で見て気になってはいましたが、政権や有力者に忖度して生きているのは、どの国も変わらないことなのではないでしょうか」

有働キャスター
「『おかしい』『不審だ』と気軽に言えない国は生きづらいだろうなと、私たちからすると想像し難いのですが、このように情報も出てきています。いつまでこんなやり方を続けられるのでしょうか」

(5月23日『news zero』より)

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