韓国「非常戒厳」宣言一転解除 ソウルの様子は…<中継>
韓国の尹錫悦大統領は3日夜、「国政がマヒ状態にある」として、44年ぶりとなる「非常戒厳」を宣言しました。これに対し、韓国の国会が戒厳の解除を求め、一転して、4日朝になり解除が正式に決まりました。戒厳が解除された後の現地の様子を伝えてもらいます。ソウルから中継です。
ソウル中心部にある日本人観光客にも人気の繁華街、ミョンドンに来ています。戒厳が解除されたということもあり、このあたりは平穏で店も通常通りに営業していて、いつも通りの町並みという印象です。
街の人に話を聞くと「恥ずかしい」と話す人もいる一方で、知らなかったと話す人もいます。
ソウル市民「昨夜は知らなかったんだけど、朝起きると世の中が1回変わって、また変わっていた。国民として恥ずかしいです」「あまりにも突然でよくわかりません。そんなこともあるのかなと思っています」
韓国では、公共交通機関にも特段の影響が出ていないほか、学校も通常通りに生徒が通学するなど、市民生活には大きな混乱は起きていません。
――およそ6時間で戒厳は解除されましたが、そもそもなぜ今回、尹大統領は戒厳に踏み切ったのでしょうか?
大統領自身や周辺への疑惑が相次ぎ、支持率も低迷する中である意味、起死回生を狙ったとみられますが、自らとった強権ともいえる一手で窮地に追い込まれるかたちとなりました。
尹政権を支える与党は今年4月に行われた総選挙で大敗していて、力を入れていた政策を進められないばかりか、来年の予算案も野党側に合意してもらえずにいました。
また、大統領夫人の疑惑について捜査する特別検察官を任命するための法律を繰り返し可決されては、これに対して拒否権を行使するいわば防戦の連続でした。
さらに、本人や周辺の疑惑が相次ぎ支持率が低下するなど、厳しい政権運営を強いられてきました。
こうした中、大統領としては強権ともいえる手法で局面を打開しようとしたとみられます。ただ、与党代表からも批判の声があがるなど、想像を超える反対で撤回に追い込まれたかたちです。
今回の対応を受け、韓国大統領府の複数の高官が辞意を表明しているということです。これが大統領の周辺から逃げ出すようなかたちで辞意を表明しているのか、責任をとってのことかはわかっていません。
――今後、この問題をめぐってはどのような展開が考えられるのでしょうか?
尹大統領が弾劾訴追される可能性が現実味を帯びてきています。
今回の騒動を受け、最大野党からは「退陣しない場合はただちに弾劾手続きに入る」と言及しています。
大統領の弾劾訴追には議会の3分の2の賛成が必要ですが、現在の野党は過半数の議席は維持しているものの、3分の2には達していません。
ただ、4日未明に行われた戒厳の解除を求める決議案には与党からも賛成者が出ています。そのため、弾劾に向けても今後、与党から賛成者が出てくれば、弾劾訴追が可決される可能性も現実味を帯びてきます。
仮に弾劾訴追が可決されれば、大統領は職務が停止され、首相が大統領の代行を務めることになります。