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息子を亡くした母「平和を鎮圧した罪」 天安門事件から35年 言論統制の中…“中国民主化運動”インフルエンサーを取材

2024年6月5日 6:15
息子を亡くした母「平和を鎮圧した罪」 天安門事件から35年 言論統制の中…“中国民主化運動”インフルエンサーを取材

中国で民主化運動が武力弾圧された「天安門事件」から6月4日で、35年となりました。当局の言論統制が強まる中、SNS上で民主化運動を続けるインフルエンサーに話を聞くことができました。

6月4日、中国・北京にある天安門広場周辺には、巡回する中国当局の姿があちらこちらに見られました。

記者(中国・北京)
「天安門広場の前、厳戒態勢が敷かれています」

その理由は、今から35年前の“あの事件”。民主化を求め集まった学生らを中国政府が武力で弾圧した「天安門事件」です。

当局は、多くの死傷者が出たこの出来事を国民の記憶から消し去るため、35年たった今も言論統制を強めているのです。

4日、中国国内で流れていたNHKの国際放送が…

記者
「消えた」

突然、画面が切り替わり、「信号異常 すぐ戻ります」との文字が。次のニュースが天安門事件を伝えるものだったため、規制されたとみられます。

また、去年10月に中国・杭州で開かれたアジア大会で陸上選手が健闘をたたえあっている写真では、ゼッケンの数字が「6」「4」と並び、事件が起きた6月4日を連想させるためか、中国のSNS上からすぐ削除されました。

街の人に事件について聞いてみると…

中国国民
「聞いたことがありません」

――天安門事件を知っていますか?

中国国民
「ちょっと意味が分からない」

――当時の新聞報道にありますが

中国国民
「結構です」

こうした中、中国の若者らからひそかに支持を集めている人物がいます。当局に不都合な情報もSNSに発信を続けるインフルエンサーで「李老師(先生)」を名乗っています。

インフルエンサー・李老師
「交通事故などですら、政府に都合が悪ければ報道されない。私のSNSが今の中国社会で声をあげることができる唯一の方法」

「X」を通じ、中国メディアが一切報じない国内の人権問題や、当局に抗議する動きを大量に発信。フォロワーは150万人を超えていますが、“32歳の画家”ということ以外は一切明らかにしていない謎の人物です。

中国のSNSに持つアカウントは合わせて53回も凍結されたといいますが、発信はやめないといいます。

インフルエンサー・李老師
「天安門広場での活動がなぜ虐殺へと変わったのか。それはみんなが知るべき意義のあることだと思うんです」

北京に住む女性も、事件の記憶をつないでいきたいと話します。

天安門事件で息子を亡くした・張先玲さん
「息子が亡くなったあの夜の銃声、まるで昨日のことのようです」

当時19歳だった息子が天安門広場で頭部に銃弾を受け、亡くなりました。

張先玲さん
「政府が軍隊を使い、民衆の平和なデモを鎮圧した罪を若者に伝えたいです」

    ◇

事件への対応を正当化し続ける中国政府。4日の会見でも、批判には耳を貸さない姿勢を続けました。

毛寧報道官
「あの政治騒動に対しては明確な結論を出しています。これを口実にして中国を攻撃し、内政に干渉することに反対します」

(6月4日放送『news zero』より)