ポーランドにミサイル着弾 2人死亡 “ウクライナの迎撃ミサイル”か G7首脳は…
ウクライナとの国境に近いポーランド東部にミサイルが着弾し、2人が死亡しました。当初、ロシア軍の攻撃との見方もありましたが、新たにウクライナの迎撃ミサイルとの分析も出ています。
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ロシア軍によるミサイル攻撃は、ウクライナの首都キーウで今もなお続く“脅威”です。
さらに隣国ポーランドでも爆発が起きました。ポーランド外務省は爆発について、「ロシア製のミサイル」だと説明。“ロシアによる攻撃”との見方が出る中、バイデン大統領は「ロシアから発射された可能性は低い」と述べ、情報が錯綜(さくそう)する事態となりました。
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15日、ロシア軍による大規模なミサイル攻撃を受けた首都キーウ。ロイター通信によると、住宅街で1人が死亡しました。
その後、停電が発生し街は暗闇に包まれました。
市民
「どうしたらいいのでしょう、私は震えています。何をどうすればいいのか、分からなくなっている」
ロシアのミサイル攻撃はキーウのみならず、西部リビウなど複数の街に及びました。
こうした中、ウクライナの隣国ポーランドでも15日、爆発が起きました。場所はウクライナとの国境から6キロほど離れた東部の村「プシェヴォドヴォ」です。公開された写真には、大きくえぐれた地面と横転した車両が写っていました。2人が死亡したということです。
ポーランド外務省はこの爆発について、「ロシア製のミサイルによるもの」だと説明しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領はSNSに投稿した動画で「これは集団安全保障に対するロシアのミサイル攻撃だ。これは本当に重大なエスカレーション(激化)だ」と強く非難しました。
ただ“当事者”のポーランド・ドゥダ大統領は「今のところ、どちらからミサイルが発射されたかは、明確な証拠がない」と“誰が発射したかについて”言及を避けました。
ロシア国防省は「ポーランド国境付近への攻撃は行っていない」などと関与を否定しています。
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この“緊急事態”に、遠く離れた場所でも動きが見られました。G20サミットが行われているインドネシア・バリ島です。
16日朝、アメリカ・バイデン大統領が宿泊するホテルに、岸田首相ら各国のトップが集まりました。バイデン大統領がG7とNATO(=北大西洋条約機構)の首脳らを招集し、緊急の首脳会合を開いたのです。
ミサイルの一報が入った夜明け前に撮られた写真は、“事態の緊急性”を物語っていました。
バイデン大統領のTwitterに投稿されたその写真に写っていたのは、Tシャツにチノパン姿のバイデン大統領です。ポーランド・ドゥダ大統領との電話会談後に撮られた写真で、ラフな格好でブリンケン国務長官らと協議する様子が写っていました。
緊急首脳会合後、ポーランドの爆発についてバイデン大統領は「初期段階の情報ではロシアからの発射ではないという情報もあり、調査が完了するまでは言いたくない。軌道を見てもロシアから発射された可能性は低い」と述べました。
また、AP通信もアメリカ政府関係者の話として、「落下したのは、ロシア軍のミサイルに向けてウクライナ軍が発射した迎撃ミサイルである」と“ロシアのミサイル攻撃ではない”といった分析を報じています。
一方、“渦中”のロシアは、ラブロフ外相が15日夜、首脳会議の終了を待たずに帰国したため、代わりに財務相が代表団を率いました。NNNのカメラには、最後の会合に淡々とした表情で向かう姿が映っていました。
G7の首脳らは共同声明で、前日のロシアのミサイル攻撃を非難。ポーランドの調査を支援し、「適切な次の対応」を決めるために緊密に連携するとしています。
岸田首相(16日午後5時すぎ)
「G7・NATO首脳は、ポーランド側の調査への全面的な支持をするという点で一致しました。ポーランドの調査を尊重するという立場を会議でも確認していますので、こうした調査・検証の状況を引き続き注視していきたいと思っています」