アメリカのペロシ下院議長が2日夜、台湾に到着しました。中国政府が直ちに抗議声明を発表するなど圧力を強めている中、アメリカ・ホワイトハウスのカービー戦略広報調整官は、アメリカとして「一つの中国」政策に変更はなく、中国側が「軍事活動を強化する口実にはならない」とクギを刺しました。

カービー調整官「中国政府がこの訪問を危機に変えたり、台湾海峡や周辺での軍事活動強化の口実にする理由は何もない」

カービー調整官は2日、中国が軍事演習の実施を発表したことなどについて、「まさに我々が想定していた動きだ。アメリカは危機を望んでいないが、中国がそうすることを選べば管理する用意がある」とも述べ、中国側と意思疎通を図っていく考えを示しました。

カービー調整官は「今回の訪問はペロシ氏の判断だ」としつつ、「ペロシ氏には、台湾を訪問する権利がある」と強調しています。

また、ホワイトハウスで国家安全保障を担当するサリバン大統領補佐官は、ペロシ氏の訪問直後、日本の秋葉国家安全保障局長とホワイトハウスで会談し、台湾海峡の平和と安定の維持の重要性をあらためて確認しました。

一方、ペロシ氏の訪問には慎重な立場だったとみられているバイデン大統領は2日、オンラインで会議に出席するなどしましたが、これまでのところペロシ氏らの台湾訪問には触れていません。

また、野党・共和党の上院議員らは、「これまで何十年もの間、アメリカ議会の議員たちは台湾を訪問してきた。今回の訪問は、アメリカの『一つの中国』政策に合致するものだ」とペロシ氏の台湾訪問を歓迎する声明を連名で出しました。