「怖さしか襲ってこない」近くで銃声と爆発音も… ウクライナの首都キエフ住民が語る今
ロシア軍が侵攻するウクライナの首都・キエフでは、たびたび防空壕(ごう)へ避難する生活を強いられている人たちがいます。キエフに住む日本育ちのウクライナ人男性が、日本テレビ「news every.」の藤井貴彦キャスター取材に応じ、夜中に銃声や爆撃音が聞こえる様子や現在の思いについて語りました。
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ウクライナの首都・キエフには、刻一刻とロシア軍の侵攻が迫っています。
日本育ちのウクライナ人、パルホメンコ・ボグダンさんは、首都・キエフ在住で、たびたび防空壕(ごう)へ避難する生活を強いられています。
パルホメンコ・ボグダンさん
「防空壕(ごう)に戻ります。空襲警報が5分ぐらい前に出て、ずっと防空壕(ごう)の方に行っている感じです」
日本時間の1日午後3時すぎ、「news every.」の藤井キャスターが、ボグダンさんに話を聞きました。
■銃声と爆発音が聞こえても、生活をしないと…
藤井キャスター
「今、ウクライナ・キエフは、どのような状況でしょうか?」
ボグダンさん
「先ほど窓を見たら、雪が降ってました。ここ1週間はすごく暖かかったんですけど、珍しいというか」
藤井
「爆発音などは聞こえるんでしょうか?」
ボグダンさん
「今、現時点では聞こえないんですけども、かなり近くで銃声と爆発音が夜中に聞こえました。多分、この5日間で一番近かったと思います。ただ、そういう状況であっても生活をしないといけないので、自分の肌感覚を信じて、必要な時に出かけたり…」
一時は戒厳令が出され、外出禁止となっていましたが、今は外に出られる状況になったといいます。しかし、日常は侵攻によって一変してしまいました。ボグダンさんは先月28日、自身をカメラで撮影しながら、「警報が鳴れば安全なところに避難することが必要なので、状況を見ながら、臨機応変に対応したいと思います」と話していました。
藤井
「今後への不安というのは、どれくらい感じていらっしゃいますか?」
ボグダンさん
「できるだけ、今後のことを考えないようにしています。ロジカルに自分の頭をきかせて考え出した瞬間に、怖さしか襲ってこないんです。お水が飲める、ご飯が食べられる、皆とコミュニケーションができる今を、大切にしようとしています」
あたりまえの日常がどれだけ幸せか、改めて感じているといいます。
■「僕にできることを」日本に向けて情報発信
日に日に高まる警戒感。ボグダンさんは自分なりのやり方で、母国を救うため闘っています。
ボグダンさん
「僕は『武器を持って戦う』ということは得意としません。ただ僕の武器は何かと考えた時、『日本語を知っていること、日本のメンタリティーを知っていること』、日本のメディアの皆様に情報を発信して、日本の方がウクライナの状況を理解して、寄付であったりとか支援であったりとか、助けていただくっていう、その働きかけを僕が少しでもお手伝いできればなっていう気持ちで接しています」
藤井
「日本のテレビを見ている人たちに、このインタビューを見ている人達に、メッセージを送ってもらえませんか?」
ボグダンさん
「少しでも日本の皆様に知っていただければ、いろいろこれから変わっていくかもしれないし、ぜひ生き延びて、また日本でお会いできる機会があればうれしいです」
ボグダンさんは笑顔で、こう締めくくりました。