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「飲料水すら手に入らない」マリウポリ ロシア軍が住民殺害の“証拠隠滅“か…

2022年4月7日 21:13
「飲料水すら手に入らない」マリウポリ ロシア軍が住民殺害の“証拠隠滅“か…

今も激戦が続くウクライナ南東部マリウポリでは、死者が数万人にのぼり、「ロシア軍が住民殺害の証拠隠滅を図っている」と指摘されています。国境なき医師団には、「飲料水すら手に入らない状況」という過酷な報告が入ったといいます。

(※遺体が映っている映像を加工しています)

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ロシア軍の撤退後、民間人とみられる遺体が多数見つかったウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊のブチャ。変わり果てた姿の友人と対面した男性は――

友人が亡くなった男性
「あいつらはなんのために彼を撃ったんだ!ロシアはケダモノの国だ!」

遺体は男性らの手で埋葬されました。

ブチャ郊外では、遺体袋に入れられた多くの遺体がありました。現地では国際人権団体などが戦争犯罪の調査を始めています。

また、同じキーウ近郊のホストメリでも、多くの住民が行方不明になっているといいます。地元当局は、ロシア軍に占領されていた間に「400人以上が行方不明になっていて、亡くなった人たちの遺体が見つかっていない」としています。

さらに、ウクライナのゼレンスキー大統領は「キーウ近郊のボロジャンカの犠牲者はブチャなどよりはるかに多い」と話すなど、被害の全容はわかっていません。

「大量虐殺」との非難が強まる中、ロシアのプーチン大統領が、ハンガリーの首相との電話会談で、この問題に初めて言及しました。「ロシア軍は民間人を殺害しておらず、ウクライナによる下品な挑発行為だ」と非難しています。

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1か月以上ロシア軍の包囲が続く激戦地マリウポリ。廃虚となった街には、ロシア国旗が掲げられるなど、その周辺をロシア側が支配していることがわかります。

中国国営テレビの国際放送を行うCGTNによる親ロシア派の同行取材で撮影していたのは、先月16日に空爆され多数の死傷者が出た劇場周辺でした。ロシア軍の許可を得て撮影しているとみられ、劇場周辺もロシア側の支配下にある可能性があります。

地元当局は、「戦闘に巻き込まれるなどして亡くなった住民が、数万人にのぼる可能性がある」と発表。さらに、「ロシア軍が住民の遺体を回収し焼却している」と指摘しました。地元当局は、ブチャでの虐殺が国際的に広まったことから「ロシア軍が住民殺害の証拠隠滅を図っている」と分析しています。

国境なき医師団の門馬秀介医師は、そのマリウポリから避難してきた人を治療したといいます。

国境なき医師団 救命救急医・門馬秀介医師
「ずっと避難しているところで靴も替えられなくて、 足の中に潰瘍ができてしまった人だとか」

門馬医師は医療機関の技術指導などのため、マリウポリから約240キロ離れたドニプロを訪れましたが、急きょ避難者の治療を頼まれたといいます。そこでは、足にやけどをおった女性の処置などを行ったということです。

また、国境なき医師団には、侵攻前からマリウポリで活動していたスタッフから、「飲料水すら手に入らない状況」を伝える過酷な報告が入ったといいます。

国境なき医師団 マリウポリからの報告(先月12日)
「1週間以上もしかしたら10日間、飲料水も薬もない状態です。市民は色々なところから、水を探さなければならず、他に水源がないので煮沸して飲んでいます」

医師団によると、中には、連絡がとれなくなっているスタッフもいるということです。門馬医師は、「日本を含む世界がサポートを継続し関心を持ち続けてほしい」と話しています。

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一方、アメリカのバイデン政権は、ロシアへの追加制裁を発表しました。ロシア最大手の銀行「ズベルバンク」などを対象に、個人や企業との取引を禁止する他、プーチン大統領の2人の娘らを制裁対象に加えるとしています。

各国が制裁を強める中、ロシア外務省のザハロワ報道官は日本について「反ロシアヒステリーを強めている」と批判し、日本の制裁に対し報復措置を取る可能性を示唆しています。

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