ロシア兵からの「性的暴行」証言も ウクライナで何が 人権団体「武器の一種」
ロシアによるウクライナ侵攻で、ロシア兵による性暴力などの「戦争犯罪」が今、次々と明らかになっています。戦争犯罪の証拠や証言を集めている人権団体が、ある女性の被害と「性的暴行は“武器の一種”として用いられている」状況について語りました。
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ポーランド・クラクフで10日、女性たちがウクライナ国旗を肩にかけるなどして、デモ行進を行いました。
「私たちの家族を救って! ロシアを止めて!」
ウクライナからポーランドに避難した女性たちは、軍事侵攻で亡くなった子どもをイメージした人形を胸に、次のように訴えました。
ウクライナから避難した女性
「残虐な行為、子どもへのレイプが毎日のように行われています」
ウクライナ内相顧問が10日、SNSに投稿した映像では、ウクライナ・キーウ(キエフ)近郊・マカリウの民家では、物が散乱した様子が映されていました。また、毛布やベッドには血痕が残されていました。
「彼女はこの部屋で辱められて、むごい目に遭ったのです。なんてひどい…」
この家の隣に住んでいたというタチアナさんの身に起きた出来事も、ウクライナ内相顧問がSNSで明らかにしました。
ウクライナ内相顧問のSNS
「侵略者(ロシア側)のひとりが彼女を隣の家に連れ出して、レイプしたあと、残酷に切りつけて殺した」
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こうした性暴力などの「戦争犯罪」が今、次々と明らかになっています。戦争犯罪の証拠や証言を集めている国際的な人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の笠井哲平さんは、ハルキウ(ハリコフ)から逃れたオルハさん(仮名)という女性の被害について語りました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ 笠井哲平さん
「オルハさん(仮名)という女性が、ロシア兵に何度も性的暴行を受けたと(証言している)」
笠井さんによると、「オルハさんは5歳の娘らと、小学校の地下室に避難しているところを襲われた」ということです。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ 笠井哲平さん
「周りが寝静まった時に(ロシア兵が)『一緒についてこい』と指示をして、銃口を彼女に向けたまま『服を脱げ』といって性的暴行をしました。ナイフを首元にあてたり、首の皮膚を切ったりしました。『ほおや髪の毛も切り刻んだ』という証言をオルハさんはしています」
性的暴行は“武器の一種”として用いられているということです。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ 笠井哲平さん
「精神的に深く傷つけ、反抗できないようにする狙い。女性に限らず、男性や子どもに対する性暴力も報告されているので、本当にこれは氷山の一角」
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さらに、ロシア軍による“略奪”疑惑もあります。ウクライナの隣国・ベラルーシの団体「ベラルーシ ガユン・プロジェクト」が公開したのは、“略奪の証拠”とされる映像です。
ベラルーシ・マズィルにある宅配サービス会社の防犯カメラには、部屋を埋め尽くすほどの物資を絶え間なく運び入れるロシア兵の姿が捉えられていました。
これらの多くはウクライナでの略奪品とみられていて、机の上にはアルコールの瓶が置かれ、エアコンが入っているといういくつものダンボールの中に、運んできた電動キックスケーターをその場で梱包する様子も撮影されていました。この日、ロシアへ発送されたという荷物は、2トン以上にのぼるということです。
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ウクライナの検事総長は「約5600件にのぼる戦争犯罪の捜査を始めた」と明らかにしました。