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北は“食料”…露は“武器” 支援の思惑も一致? 金総書記がプーチン大統領との会談計画か

2023年9月5日 20:25

北朝鮮の金正恩総書記が、今月10日から13日まで国際会議「東方経済フォーラム」が開催されるロシアのウラジオストクを訪問し、プーチン大統領との会談を計画しているとアメリカメディアが報じました。専門家は、北朝鮮は食料の支援などを期待していて、ロシアは武器などを支援してもらう狙いがあると指摘しました。

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先月27日、金正恩総書記が、海軍の司令部を視察する様子を朝鮮中央テレビが報じました。軍関係者が全員軍服姿で正装するなか、金総書記の足元はサンダルです。韓国の情報機関(国家情報院)は、金総書記が糖尿病などを患っている可能性があると分析していて、韓国メディアは、その影響が出ているとの見方を伝えています。

その北朝鮮を巡って今月4日、アメリカの「ニューヨーク・タイムズ」が、関係当局の話として新たな情報を明らかにしました。今月、北朝鮮の金正恩総書記がロシアを訪問し、プーチン大統領との会談を計画していると報じたのです。

会談場所とされているのは、ロシアのウラジオストク。今月10日から13日まで国際会議「東方経済フォーラム」が開催される場所です。このフォーラムはロシア極東地域への投資を呼び込むための場で、2019年には安倍元総理大臣も参加し、日露首脳会談も行われました。金総書記は、今回、プーチン大統領との会談のため、首都の平壌から列車でウラジオストクに向かうとされています。

この報道と同じ4日、アメリカのNSC(=国家安全保障会議)のワトソン報道官は「金正恩氏が、ロシアでの首脳レベルの外交を含む協議の継続を期待している、との情報がある」との声明を発表し、北朝鮮に対しては、ロシアとの交渉を中止するよう強く求めました。

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北朝鮮とロシアには、どんな思惑があるのか。

北朝鮮政治に詳しい 慶応義塾大学・礒崎敦仁教授
「北朝鮮は、コロナ禍で経済が疲弊した状況にあると。一方のロシアは、ウクライナへの侵略によって、孤立を深めているわけですね」

北朝鮮側は、コロナ禍の国境封鎖により経済が疲弊していて、会談を通じロシアから食料の支援などを期待しているといいます。一方で、ウクライナ侵攻で孤立したロシア側は武器不足に陥っていて、北朝鮮から武器などを支援してもらう狙いがあると指摘しました。

慶応義塾大学・礒崎教授
「北朝鮮とロシアが協力関係にあることを誇示することで、日米韓に対抗するという姿勢を示すということです」

共同で軍事演習をするなど関係を深める日米韓に対抗するため、ロシアと北朝鮮の蜜月関係を誇示し、軍事的な協力を強化する思惑が一致したといいます。

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実際、ロシアのショイグ国防相は4日、北朝鮮との合同軍事演習について明らかにしました。

ロシア ショイグ国防相(※ロシアメディアによる)
「北朝鮮と合同軍事演習の可能性について協議している」
「なぜいけないのか。隣国だ」

ショイグ国防相は7月、北朝鮮を訪問し、新型兵器を視察しました。金正恩総書記と会談し、安全保障環境について意見を交わしたと報じられていました。専門家は、この7月の訪問で、今回のプーチン大統領との会談に向けた“下準備”を行ったのではないかと指摘しています。