プーチン大統領 “併合”一方的に宣言か 自転車で“国境越え”親子も
ロシアのプーチン大統領は30日夜、ウクライナ東部と南部の4つの地域について、一方的に併合を宣言するとみられます。一方、ロシアで動員令の発表以降、周辺国との国境には、脱出しようとする人が殺到しています。こうした中、モスクワから避難し、自転車で国境を越えてきたという親子と出会いました。
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30日、モスクワ中心部・赤の広場に通じる道では、パブリックビューイングなのか。巨大なモニターがいくつも設置され、ウクライナの占領地域の併合を祝う文字が書かれていました。
モスクワ市民
「 (併合で)人々の生活が平和になるなら、支持する」
27日、親ロシア派によって強行された「住民投票」。「ロシア兵が投票を強要した」との批判も出ている中、占領しているウクライナ・ドネツク州やヘルソン州などで「大多数の住民がロシアへの編入に賛成票を投じた」と発表しました。
日本時間30日午後9時から、併合のための調印式を行い、プーチン大統領が演説で一方的に併合を宣言するとみられます。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、29日に公開された動画で、「ロシアがウクライナで、新たな領土を得ることはない」と述べました。アメリカのバイデン大統領も29日、「ロシアの恥知らずで露骨なウクライナ領土併合の動きについて、アメリカはロシアの主張を決して認めない」と述べました。
国際社会から批判が高まる中、国内の世論にも変化が出ています。ロシアの独立系世論調査機関「レバダセンター」によると、プーチン大統領の仕事に対する肯定的な評価は77%で、前の月から6ポイント下がりました。それに対して、否定的な評価は、ウクライナ侵攻後、初めて20%を超えました。この調査機関は「部分的動員の発表で、支持率が低下した」と分析しています。
発令された動員令について、プーチン大統領は29日、「今回の動員の過程で、多くの問題が起きました。我々はすべての過ちを修正しなくてはいけません」と述べ、対象外の人が動員されていると言及しました。混乱拡大を食い止めるための苦肉の策とみられます。
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しかし、周辺国には、今もロシアから脱出する人が殺到しています。ジョージアとの国境付近は、人も車も大行列になっていました。
アメリカCNNによると、「動員令の発表以降、すでに20万人以上がロシアから出国した」と伝えています。
ロシアから5万人以上が出国したジョージアの国境付近へ向かうと、そこで「自転車で国境を越えてきた」という親子に出会いました。
8歳の娘とモスクワから避難してきたという父親
「荷物が70キロくらいあって、それに子供も一緒で大変です」
「プーチンが戦争をやっており、我々はこの戦争に加わりたくない」
国境検問所には、幼い子供を連れた親子の姿も多く見られました。
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ジョージアの首都・トビリシで、ロシアを出国したという学生に話を聞くことができました。
ジョージアに来たロシア人学生
「自転車に乗っていましたが、ロシア側の国境で没収されました。『臆病者!自転車は返さないからな』と怒鳴られました」
別の学生は、「怖くなりました。私は徴兵対象ではないはずですが、兵役に行かされるかもしれないからです」と話しました。
国外への脱出が後を絶たず、混乱が続く中、プーチン大統領はどう動くのでしょうか。