キーウ近郊「仮設住宅」約3500人が入居待ち “自分の土地で暮らしたい”自宅にとどまる人も
ロシアによるウクライナ侵攻から、まもなく4か月をむかえますが、激しい攻撃うけたウクライナの首都・キーウの近郊では、仮設住宅が足りず、生活再建の見通しはたたないままです。一方、“自分の土地で暮らしたい”という思いで、あえて自宅にとどまり続ける人もいます。
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激しい攻撃にさらされた首都キーウ近郊の街「ボロジャンカ」。その街に新たにできていたのは、ポーランドの支援でできた仮設住宅です。今月になって、ようやく仮設住宅への入居が始まり、現在、約200人が暮らしています。
88ある部屋の中には二段ベッドが設置され、最大4人が生活できるようになっています。部屋の中の戸棚には、食料品のほか、マスクや薬なども完備されています。
仮設住宅に住むタチアナさん
「ボランティアが枕や食器を渡してくれて、感謝しています」
ただ、建設に関わる土木工事の専門家が足りていないため、仮設住宅の建設が追いつかず、約3500人が入居待ちとなっています。
復興に向けた動きは、まだ始まったばかりです。
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仮設住宅への入居を心待ちにする人がいる一方、あえて自宅にとどまり続ける人もいます。キーウ近郊のアンドリーウカ村に住むアナスタシアさんも、その1人です。
アナスタシアさん
「ここが私の家でした」
家はロシア軍の攻撃で、跡形もなく壊されました。アナスタシアさんが暮らすアンドリーウカ村は、数百人のロシア軍によって約1か月間、占拠されたといいます。地下室には、今もロシア軍が生活していた痕跡があり、庭にもロシア兵の軍服が放置されたままになっていました。
アナスタシアさんは、一時、別の場所に避難していましたが、体調を崩したため自宅に戻り、敷地内の仮設住宅で暮らしています。“自分の土地で暮らしたい”という思いで自宅に戻ることを決めたといいます。
アナスタシアさん
「自分の土地にいることが大事です」
「元の家と比べると狭くて良くないですが、自分の土地に住めて、とても幸せです」
――将来願うことは?
アナスタシアさん
「平和、平和、平和だけです」
家を奪われてなお、ウクライナで暮らしたいと願う人たち。その生活の再建は見通せないままです。