「頭の上にミサイル飛んでくるから」ウクライナ地下鉄で避難生活 親子の“受け入れ難い現実”
ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が電話で会談し、早ければ28日にも、ロシアとウクライナの代表団による停戦協議がトルコで行われる見通しです。こうした中、地下鉄で避難生活を強いられている親子の“受け入れ難い現実”を取材しました。
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27日、ウクライナ南東部の激戦地・マリウポリで生まれ育ったという女性の自宅を案内してもらいました。
マリウポリ育ちの女性
「ここにミサイルが来ました。アパートはめちゃくちゃに壊されました」
「足の踏み場もないほど、ミサイルによる攻撃で破壊された」と話しました。
マリウポリ育ちの女性
「なにも残っていない。どうしよう。マリウポリから、どこにも引っ越したくない。住む場所がないのに」
同じく、自宅を攻撃されたという男性へのインタビュー中にも、重苦しい爆発音が響きました。
自宅を破壊された男性
「わが娘へ。あなたのお父さんはまだ生きているよ」
ロシア国防省は26日、巡航ミサイル発射とされる映像を公開するなど、ロシア軍がミサイルでの攻撃を激化させているとみられています。
ポーランドとの国境に近いウクライナ西部の主要都市・リビウでは、消防隊員が懸命な消火活動に追われていました。ロシア国防省は、「リビウの燃料貯蔵施設などをミサイルで攻撃した」と発表。ウクライナ地元当局は、「これまでに少なくとも5人がけがをした」といいます。
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26日、ウクライナの首都・キーウ(キエフ)で取材を続けるジャーナリスト・佐藤和孝さんが向かったのは、旧ソ連時代につくられたという地下鉄でした。市民らがシェルターとして利用しているこの場所では、子供の姿も多く見られる中、テントを張って生活する母と息子に話を聞きました。
息子(8)
「頭の上にミサイルが飛んでくるから」
避難する母親(30)
「寒いです。日が当たらないので。外が安全なら、家に帰ってお風呂に入ります。戦争が終わるまでいます」
――戦争はいつ終わると思う?
避難する母親(30)
「難しい質問ですね。あしたを希望します」
息子(8)
「それはあり得ないね」
地下鉄での避難生活が長引くこの親子は、“受け入れ難い現実”を訴えていました。
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ウクライナとの国境周辺の街、ポーランド・ジェシュフでは、市民らが国歌を歌い、ウクライナとの連帯を訴える集会が行われました。ウクライナ・キーウ近郊から避難してきたという親子は、次のように話しました。
キーウ近郊から避難した人
「夫も親戚も友達も、みんなウクライナにいます。戦争が終わったら、すぐに家に戻りたいです」
子供
「パパのところに戻りたい」
ウクライナ当局は、143人の子供が死亡したと発表しました。また、ウクライナ軍は「ウクライナに武器を与えてください」と世界に向けて協力を呼びかけています。
米政策研究機関・戦争研究所は、「ウクライナ軍が反撃を続け、首都・キーウの東、スムイ州、ハルキウ(ハリコフ)周辺の領土を奪還した」と分析しています。
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こうした中、停戦協議を巡る新たな動きもありました。トルコ政府によると、ロシアのプーチン大統領とトルコのエルドアン大統領が電話で会談し、ロシアとウクライナ両国の代表団による停戦協議が、対面式で行われる見通しとなりました。期間について、ウクライナの交渉担当者は「28日から30日まで」とし、ロシア代表団の1人は「29日から30日」としています。
ゼレンスキー大統領
「交渉の優先順位は決まっている。主権と領土保全は疑う余地もない」
また、ウクライナのゼレンスキー大統領は自身のSNSで、ロシアメディアのインタビューに対し、焦点の「中立化」について、「第三者による保証と国民投票が必要」との考えを示し、ロシアが求める非武装化については「拒否している」としました。
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一方、アメリカのバイデン大統領は26日、プーチン大統領に「権力の座にとどまってはならない」と批判しました。しかし、27日、この発言について「プーチン大統領が排除されてほしいか?ロシアの体制転換を求めたのか?」との質問に対して、バイデン大統領は「違う」と否定し、「体制の転換を求めたものではない」と釈明しました。
また、ブリンケン米国務長官も「体制の転換を目指すような戦略は持っていない。ロシアの人々次第だ」と強調しました。ロシアを刺激し、事態を悪化させないよう“火消し”に追われています。