トム・クルーズも来日できず……ハリウッドで43年ぶり“ストライキ” 背景に「動画配信」「AI」ナゼ? 俳優たちの心配事…
俳優たちは何を求めているのでしょうか?
ストライキは年末まで続く可能性があり、その行方と影響が注目されます。
有働由美子キャスター
「アクション映画『ミッション:インポッシブル』の最新作が21日に公開されます。それに合わせて17日、都内でイベントが行われる予定でしたが、主演のトム・クルーズさんの来日がキャンセルとなり、急きょ中止となりました」
「その理由はアメリカの映画界で行われている、43年ぶりの大規模なストライキです」
小野高弘・日本テレビ解説委員
「ストライキの目的は、俳優たちを守るためです。参加している俳優などは16万人に上ります。トム・クルーズだけではなく、これだけ(多く)の人たちが映画やテレビを支えています。訴えているポイントは『動画配信』と『生成AI』です」
有働キャスター
「動画配信はHuluやNetflixなど、皆さん当たり前のように見ますよね」
小野委員
「ドラマや映画を配信で見る人は増えていますよね。BBCによると、あるドラマの主演俳優は『動画配信は金のなる木なのに、その利益が出演者に還元されていない』と言います。動画配信するなら、再生回数に応じて報酬を増やしてほしいという訴えです」
「ここで言う出演者とは、大勢います。主役クラスの俳優はもともと報酬が高額かもしれませんが、そうでない俳優たちがほとんどです。そのような人たちのことを言っています」
有働キャスター
「その人たちの生活を守らなくては、ということですね」
小野委員
「もう1つの訴えが、生成AIへの不安です。ストライキに参加している俳優は『製作会社は1日分の日当だけで私たちの顔をスキャンし、AIでそれを永久に使おうとしています。そんなのはダメです』と声を上げています」
「例えば、ある俳優に1日分だけ給料を払い、その人の顔など全身をスキャンします。新しい映画を作る際に本人は撮影現場には呼ばれず、スキャンしたデータなどをもとにAIが演技をして編集に入れ込むというものです」
「今、大勢のエキストラをCGで作ることはあると言われますが、それだけではありません。主役以外の俳優の役をAIが担うことになってしまうのではないか、と心配されています」
「さらに痛いのは、AIが自分を演じるようになると、自分にはギャラが入らない可能性があるということです。製作者にしてみれば経費を削減したいので、そういう方向に向かいます」
小野委員
「欧米メディアは、このストライキが年末まで続く可能性があると指摘しています。アメリカの映画製作者の中には、AIが映画製作のあらゆる分野を担っていくと見ている人もいます。簡単には解決しなさそうです」
有働キャスター
「動画配信とAIで今、映画界は大変革期と言えるのだと思います。その中でどう現場の人たちの権利を保障していくのか。他の国にも影響する話ですので、ストライキの行方を見守りたいと思います」
(7月17日『news zero』より)