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目隠し、押さえつけも......ロシアが「領事」拘束ウラジオストクで“スパイ容疑”口実作りナゼ?専門家「制裁への意趣返し」

2022年9月28日 10:37
目隠し、押さえつけも......ロシアが「領事」拘束ウラジオストクで“スパイ容疑”口実作りナゼ?専門家「制裁への意趣返し」

ロシア極東のウラジオストクで、日本の領事がスパイ容疑で拘束され、動画が公開されました。領事は目隠しされ、頭を押さえつけられる扱いを受けたといいます。ロシアが「スパイ行為」との口実が作れるのは、ウラジオストクならではの背景があるとみられます。

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■ロシア経済を支えるウラジオストク

有働由美子キャスター
「拘束されるのもそうですが、外交官が目隠しをされたり、頭を押さえつけられたり...。こんなことはあるのでしょうか」

小野高弘・日本テレビ解説委員
「こんな仕打ちは聞いたことがありません。ただ、ロシアがスパイ行為だと口実を作れるのは、場所がウラジオストクだからということもあります」

「ウラジオストクはモスクワから遠く離れていますが、プーチン大統領にとってロシアの経済全体を支える大事な場所です。中国などアジアの国々との貿易の窓口でもあります」

「9月にはウラジオストクで、ロシアに投資を呼び込む国際会議が行われました。このイベントはプーチン大統領肝いりで、本人も出てきました。ロシアと交流しようとする国が多く集まっていました」

「つまり、ウラジオストクではロシアの対外政策に関するいろいろな情報が飛び交っていて、入手できます。ウラジオストクにある日本の総領事館は、通常の行政手続きやパスポートの再発行なども行いますが、同時にさまざまな情報収集もやっているはずです」

■廣瀬教授「ロシアは動画のねつ造も」

有働キャスター
「ロシアはそこに目を付けた、と」

小野委員
「そうです。日本側は、違法なことは何もしていないと主張していますが、ロシアからすれば、大事なウラジオストクで非友好国である日本が情報を集めるのはスパイ行為に当たると口実を作れます。そうやって日本を脅すわけです」

有働キャスター
「動画を出してまで、そういうことをするものですか?」

小野委員
「『そういうことをする』と、ロシア政治に詳しい慶応義塾大学の廣瀬陽子教授は言います。『証拠だと言って動画を出すのは、ロシアのいつものやり方。動画のねつ造すらやる』と指摘します」

「また『ロシアが他国の外交官を追放するのも珍しい話ではなく、日本がロシアに制裁を続けていることへの意趣返しだ』とみています」

■落合さん「狙いは外交的譲歩か」

落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「外交官に手を出すのはご法度ですが、外交的な譲歩を引き出そうとするメッセージを感じます。われわれは平和的に常に外交は考えますが、(ロシア側は)こういった脅しのようなことをしてきます」

「日本とロシアの関係は非常に敵対的な状況になりつつありますが、日本が譲歩しないにしても、(ロシアとしては)対立を強めて警戒しておいた方が、外交上得なメッセージなのだろうなと思います」

「『これ以上は内政に関わってくるなよ』という圧力だったり、日本側が外交的なメッセージを発することに躊躇することを狙っているのではないかと、素人ながら思います」

有働キャスター
「これ(拘束による圧力)をやって日本が制裁を緩めるはずはありませんし、対立を強めるようなやり方は何にもならないと思います」

(9月27日『news zero』より)