“弾圧”下の祖国の人を… ミャンマー料理店の取り組み
ミャンマーの軍事クーデターから間もなく1年です。日本から、軍の弾圧に苦しむ祖国の人たちを助けようと奮闘するミャンマー料理店を取材しました。
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鶏肉とジャガイモの炒め物に、トマトと卵の煮物。全て、ミャンマーの家庭料理です。東京・池袋にあるミャンマーレストランは、昼時多くのお客さんでにぎわいます。
客「ちょっとだけ刺激的。日本風にアレンジした訳ではないそうですが、おいしくいただけました」
切り盛りするのは、日本に来て9年目のレーレールインさん。店を始めたのには理由がありました。
レーレーさん「自分の国の人々が困っているときに何も助けられないのがすごい苦しくて。もう自分たちが闘うしかないと思ったんですよ」
去年2月1日に起きた軍事クーデター。直後から、市民らによる抗議デモや、職場を放棄することで抗議の意思を示す「不服従運動」が全土に広がりました。
長引く混迷の中、収入が得られず困窮する市民を助けようとレーレーさんたち在日ミャンマー人が立ち上がったのです。
スタッフは全員ボランティアで、他の仕事をしながらシフトを調整して運営しています。レーレーさん自身も看護師として働きながら店を運営しています。
レーレーさん「今自分ができることは、この店をやったり、 日本のために病院で働いて患者さんを自分の家族のように看病すること」
故郷の味を楽しんでもらいながら支援したい。その思いで、利益は全てミャンマーに送っているといいます。
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この日、しばらく連絡がとれなかったミャンマーの友人と電話がつながりました。
レーレーさん「そちらの生活は今どうなってますか?」
ミャンマー在住の友人「軍は若者を適当な罪をでっちあげて逮捕している。携帯電話から抵抗運動に関連しそうなものが見つかったら、拷問されて命を落とすこともある」
軍の弾圧に加え、物価が高騰し生活も厳しくなっているといいます。祖国の厳しい状況を知るたび、心を痛めてきたレーレーさん。
レーレーさん「日本の皆さんは想像もできないくらいの大変なことが、ミャンマーで起きているのでそれが事実です。もう一度行ってみたい国になるように頑張っていきたいと思います」
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海外から祖国を支援する動きは、ミャンマーの隣国、タイでも。
アパートの一室で行われていたのは、テレビニュースの編集作業です。ここにいるのは、ミャンマーのテレビ局「ビルマ民主の声」の記者たち。クーデター以降市民らの抗議活動などを取材し報道してきましたが、ジャーナリストの拘束や拷問が相次いだため、タイに逃れてきたのです。
ビルマ民主の声・タン記者「彼らは別の場所にいる ニュースキャスターたちです。もし誰かが逮捕されても 残りのメンバーで放送を続けられます」
こうした拠点を世界の複数の国に作り、ミャンマーの現状を伝え続けています。
間もなくクーデターから1年。民主化を求める市民の闘いが続いています。