池江璃花子 3年前の自分は「異次元な人」
1月21日から3日間にわたり東京・辰巳で行われたKOSUKE KITAJIMA CUP 2022(北島杯)。50mと100mで2冠を達成した池江璃花子選手が、大会前に日本テレビの取材に応じました。
年末に上気道炎で体調を崩していたという池江選手。「咳をしすぎて背中を痛めた。上半身の動きが悪くなってしまって調子が上がらなかったけど、今年に入っておさまっていい調子で練習が積めていた」と話します。
年明けには、雪の上に寝転がって“アイシング”を行うほど体調は回復したといいます。
そんな池江選手は、去年自身のSNSに10キロのおもりをぶら下げて懸垂する動画を投稿。
「体重があのとき(動画を投稿した当時)より増えているので、自分の体重でやるだけで結構キツい。あのときはまだ体重も軽くて、あの動きができていたかなと思う」
「筋力はだいぶ戻ってきたと思う」と話す池江選手ですが、下半身の筋力がなかなかつかず、「スタートで遅れてしまうことが課題」だといいます。
池江選手は、病気が判明する前のレースでは、スタートして15mの時点で、ほかの選手より頭1つ分リードを奪っていました。
しかし、復帰後は他の選手より体4分の1ほど遅れて15mを通過するため、「やっぱりスタートは大事だなと思い、スタートの改善をしています」と話します。
「自分は単に脚の筋力が完全に戻っていないからスタートで遅れているんだとずっと思っていて、最近は体重もだいぶ戻ってきて、お尻や太もも裏の筋肉はしっかりついてきたのに、まだ自分より体重の軽い選手に勝てない。『なんでだろう』と考えたときに、スタートよりも水中に入ってからのドルフィンキックがうまくできていなかったことがわかった。そこからは、ドルフィンキックの打ち方を変えてトレーニングしています」
スタートから15mまでの遅れは、飛び込んでから水中で行うドルフィンキックに原因があったという池江選手。
「普通ドルフィンキックは脚を閉じて打つ。私は打っている途中にだんだん(脚が)外側に広がっていってしまい、隙間から水が逃げていき、推進力を得られない。内転筋が弱いということが分かって、それを鍛えることで脚の閉まりが変わってくるので。改善するようにしています」
ドルフィンキックの打ち方を改善したところ、効果を実感し始めているといいます。
「タイムも上がってきているので、自分的にはうれしいというか伸びしろ。『また速くなれる』と思えるのが楽しい」
そんな池江選手にとって、「KOSUKE KITAJIMA CUP」は特別な大会。2018年、当時18歳だった池江選手は100m自由形で52秒79の日本新記録をマークしました。
「(いま振り返ると)自分なんですけど、異次元な人というか。『あんなタイムをよく日本人の女子が出せるな』というくらい速いタイム。今そこに到達しようという感じではないけど、いつかまた自分でも感動というか、驚くようなレースができたらいいなと思う」
成長したのは、技術面だけはありません。
「メンタル的な部分というか、勝ち負けにすごくこだわるようになった。前は10割の力で泳がなくても優勝していたり、泳いだら泳いだだけ日本記録が出ていた。今は負けることもある。負けたらすごく悔しいし、どうやったら勝てるんだろうとすごく考えることもある。勝つということにこだわってレースをしたい」
今年の北島杯では、50mと100m自由形で2冠を達成した池江選手。大会を振り返り、「すごくいい試合ができたと思うので、あと1か月間で体も気持ちも整えて気持ちよく(日本代表選手)選考会を迎えて、記録が出せればなと思います」と3月の選考会に向け意気込みを語りました。