マリウポリ近郊に“多数の集団墓地” ロシア軍が民間人の遺体を埋めたか
プーチン大統領が一方的に制圧を宣言した、ウクライナのマリウポリ郊外で、「ロシア軍が多数の市民の遺体を埋めている」と地元当局が主張しました。
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無数の砲撃音が鳴りやまず、戦火に包まれているのは、ウクライナ東部のルハンシク近郊のルビージュネです。
市民
「知っている人の家がどんどん崩れ、壊れ、燃えている」
ロシア軍は、ウクライナ東部の完全制圧に向け、大規模攻撃を仕掛けています。街の中の被害は甚大で、市民は地下での生活を強いられていました。
市民
「家が壊された。住む場所がないです。だから地下室にいるしかない」
受け入れがたい現実の中でも、砲撃の恐怖にさらされ続けています。
北東部にあるウクライナ第2の都市ハルキウでも、ロシア軍による攻勢が強まっていて、いくつもの集合住宅が「標的」となっていました。
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ロシアが侵略を始めてからまもなく2か月。バスに乗り避難してきたのは、ウクライナ・マリウポリから避難してきた人たちです。
マリウポリから避難
「マリウポリで起きたことは恐ろしいこと」
マリウポリから避難
「自分の街が目の前で死んでいった」
21日、マリウポリの制圧を宣言したロシアのプーチン大統領。
プーチン大統領
「マリウポリ解放の作戦は成功だ。おめでとう」
ただ、マリウポリ“最後の砦”であるアゾフスタリ製鉄所には、いまもウクライナ側の兵士や大勢の市民がとどまっていて、ゼレンスキー大統領は「(マリウポリの)一部の地域にはウクライナ軍がまだ残っている」と制圧を否定しました。
アメリカ国防総省の高官も「マリウポリはまだ制圧されていない」「ロシア軍が空爆などを続けている」などとの分析を明らかにしました。
さらに、市内には、いまも10万人以上の市民が取り残されていて、マリウポリ市長は、「残されている人々の命は、たった1人の人間の手の中にあると理解しなければいけない。それはプーチンのことだ」と、市民が避難できるよう訴えました。
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ロシア側は、Zマークが書かれた車両で、街に残された遺体を回収しています。マリウポリでは、2万2000人以上の民間人が亡くなったとされる中、地元当局はSNSで、「ロシア軍が多数の集団墓地を作り、市民の遺体を埋めている」と主張しました。
今月3日に撮影された衛星写真を公開した、アメリカの民間企業は、道路に沿って200個以上に及ぶ墓が掘られていると指摘しました。これらは先月23日の写真では確認できず、先月末から今月初旬にかけて掘られたとみられています。
地元当局は、3000人から9000人の遺体が埋められた可能性があると指摘した上で、ロシア軍が「市民の遺体を隠そうとしており、戦争犯罪の明白な証拠だ」と非難しています。