尹錫悦氏が韓国大統領に就任 北朝鮮に“対話の可能性”示す…「戦後最悪」日韓関係は…
韓国で5年ぶりの政権交代です。10日、尹錫悦氏が新たな大統領に就任し、厳しい姿勢を示してきた北朝鮮について就任演説で対話の可能性を示しました。一方、「戦後最悪」と言われるまでに悪化している日韓関係は今後どうなるのでしょうか。
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10日、尹錫悦氏は韓国の新しい大統領に就任しました。就任式は韓国の国会議事堂前で行われ、4万人を超える国内外の招待客が出席しました。
韓国 尹錫悦新大統領
「大統領としての職務を誠実に遂行することを国民の前で宣誓します」
尹新大統領は、大統領選挙で二分した国民世論を念頭に、“団結”の必要性を強調しました。壇上には退任した文在寅前大統領や、かつて自らが捜査を指揮した朴槿恵元大統領も参列しました。“統合”を印象づけた形です。
韓国 尹錫悦新大統領
「私はこの瞬間、危機を克服する責任を与えられたことを感謝し、我が偉大なる国民とともに堂々と乗り越えていけると確信しています」
これまで厳しい姿勢を示してきた北朝鮮に向けては「核開発を中断し、実質的な非核化に切り替えるならば、北朝鮮の経済を改善する大胆な計画を準備する」と強調し、対話の可能性も示しました。
尹大統領は、これまで大統領府として使われてきた「青瓦台」は“権力独占の象徴”だとして執務室を移転しました。一方、役割を終えた青瓦台では、10日正午ごろから一般公開が行われ、多くの市民が詰めかけました。市民に新政権に期待することを聞きました。
市民
「尹大統領が選挙運動中に話した通り“公正と常識”を望んでいます」
「今よりも経済的に豊かで、私たちの望むような国にしてほしいです」
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これまでに日米韓3か国の連携を重視する姿勢を明確にしている尹大統領。しかし、10日の就任演説では、日韓関係に言及しませんでした。
就任式に参加した林外務相は、その後、尹大統領のもとを訪れ、岸田首相の親書を手渡しました。その中身は「閣下が日韓関係の改善への強い意欲を示しておられることを大変心強く思います。閣下のリーダーシップに期待します」というものでした。
戦後最悪とも言われる現在の日韓関係。会談で、尹大統領は「私は岸田首相と両国関係の改善に向け、共に努力していくことを期待しています。早期にお会いできることを期待しています」と述べました。
会談後、林外相は「尹大統領からは『日韓関係を重視しており関係改善に向けて共に協力していきたい』」と述べ、「関係改善にはいわゆる元徴用工問題や慰安婦問題などの解決が必要」と伝えたことを明らかにした上で、「両政府間でスピード感を持って協議していく」と意気込みを語りました。