ロシア軍の攻撃続く “撤退”の首都近郊で新たに26人の遺体
ウクライナ東部や南部では、今もロシア軍の砲撃が続いています。一方、ロシア軍が撤退した首都近郊では、新たに20人以上が犠牲になっていたことがわかりました。
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空高く上がる黒煙。ウクライナ第2の都市・ハルキウ(ハリコフ)では7日、パン工場などが標的となりました。ロシア軍は、今も東部や南部で攻勢を強めています。
ウクライナ南東部・マリウポリでは7日、何度も砲撃音が響きました。数日以内に陥落するとされているマリウポリでは、数万人もの住民が亡くなった可能性があるとされています。
ウクライナ マリウポリ市長
「人々への脅迫や略奪、民間人の虐殺の証拠も確認されている」
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6日、ロシア軍による「民間人の大量虐殺があった」とされるキーウ近郊・ブチャでは、姉妹が久しぶりに再会しました。安堵からか、涙がこぼれていました。
「42日会っていませんでした。別々のシェルターにいたので」
シェルターでは、娘とともに35日もの間過ごしたといいます。
「常に砲撃があって、水がない時もあれば、食べ物がない時もありました。子供たちは寒がっていたので、私はいつも抱きしめていました」
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そして、このブチャよりも「犠牲者が多い」とされるのが、キーウ近郊・ボロジャンカです。ウクライナのゼレンスキー大統領は日本時間8日、自身のフェイスブックに「ボロジャンカでは、撤去作業が始まっている。あそこはとても悲惨だ」と投稿しました。
砲撃を受け、崩壊した建物2棟の下から、26人の遺体が見つかりました。
7日、ウクライナ検事総長は現地を視察しました。
ウクライナ検事総長
「キーウ地方で、650人の遺体を発見した。そのうち40人が子供のものだった」
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この6週間で、子供を含めた多くの命が奪われました。こうした中、停戦をめぐって、難航するおそれも出てきました。ロシアのラブロフ外相は7日、「ウクライナ側が合意文書案を修正してきた」と明らかにしました。
ロシア ラブロフ外相
「(ウクライナ側の)草案は、最も重要な部分が明らかに逸脱していた」
新しい合意文書案には、ウクライナの安全を保証する国際的な枠組みを、ロシアが実効支配するクリミア半島に適用しないことなどが削られたとしました。つまり、クリミア半島について「ロシアの主権を認めないというシグナル」を受け取ったとしたのです。