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世界初“ブタの心臓”移植手術受けた男性が死亡 アメリカ

2022年3月10日 21:05

世界で初めて、ブタの心臓の移植手術を受けた男性が亡くなったことがわかりました。末期の心臓病で人工心臓も装着できない中、踏み切った手術でしたが、男性が最後の日々を孫らと過ごせたことに家族からは感謝の声が上がっています。

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2月13日、アメリカ・メリーランド州のメリーランド大学病院の病室で、アメリカ最大のスポーツイベント、スーパーボウルを見ていたのは、今年1月に世界で初めて「ブタの心臓」の移植手術を受けた人物、デビッド・ベネットさんです。

そして、そのおよそ1か月後の3月8日、ベネットさんは亡くなりました。57歳でした。

アメリカの大学病院に入院した時には末期の心臓病で、ヒトの心臓移植を受けられず、人工心臓も装着できない状態でした。

デビッド・ベネットさん(57)
『私は生きたいこれが最後の選択だ』
生きるための最後の手段として、遺伝子操作が行われた拒絶反応を起こさない「ブタの心臓移植」に踏み切ったのです。

そして、手術は無事成功。移植された心臓は術後数週間、拒絶反応の兆候もなく機能していたといいます。

しかし、数日前から容体が悪化し、手術から2か月がたった3月8日に亡くなったということです。死因は明らかにされていません。

最後の時間をともに過ごした遺族からは、感謝の声が聞かれました。

遺族
「父に与えられた延命の機会に深く感謝しています。父は2人の姉、2人の子供、5人の孫、愛する家族と過ごす時間を増やしたいと思っていました。私たちはこの物語が終わりではなく希望の始まりとなることを願っています」


臓器不足の解消につながることが期待される“ブタの心臓移植”。病院側は、「遺伝子を組み換えたブタの心臓が人の体内で十分機能することが分かった。今後も研究を続けていく」としています。