×

タリバンに教育を奪われた少女たち“黒ずくめ”の服装で集う場所は…アフガニスタン

2023年8月26日 10:00
タリバンに教育を奪われた少女たち“黒ずくめ”の服装で集う場所は…アフガニスタン
少女たちが朗読するのは…

アフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが復権してから2年。女子教育は停止され、中学生以上の少女たちは学校に通えない日々が続いている。そんな彼女たちが全身黒ずくめの服装で、せめてもの学びを求めて集まる場所があった。(NNNカブール 平山晃一)

■住宅街に響き渡る少女たちの声

私たちが訪れたのは首都カブール郊外の住宅街。その一角に石造りの小さな集会場のような建物があった。そこに次から次へと、全身黒い服をまとった少女たちが入っていく。中から聞こえてきたのは、少女たちが何かを朗読する声。その声は、建物の外にまで響き渡り、歌のようにも思えた。

ここはイスラム教の聖典コーランなどを教えるマドラサ、宗教学校だ。聞こえていたのは、少女たちがコーランを朗読する声。授業は毎日行われる。しかし、午後3時から5時までのわずか2時間が、女子の授業時間と決まっている。この日は小学生から高校生くらいまでの年代の少女、約40人が授業に参加していた。黒い服に加えて、黒いヒジャブで髪を隠して口元も覆い、目だけを出す服装が義務づけられているという。

2021年8月のタリバン復権後、女子の中等教育(日本の中学高校)は停止され、翌年の12月に大学の女子教育も停止された。中学生以上の少女たちはすでに2年もの間、学校に行けない日々が続いている。こうした中、せめてもの学びの場・社会との接点を求めて、宗教学校に通う少女たちが増えているのだという。

■「夢をかなえられない」少女たちの声

宗教学校に通うことで、友人らと顔を合わせて話すこともでき、気晴らしにもなる。しかし少女たちは「ここで学んでも夢をかなえることはできない」と訴える。

英語と数学が得意だったという14歳のモハンマディさん。学校に通えなくなった後は、塾に通っていたものの、そこもタリバンによって閉鎖されたという。

モハンマディさん(14)
「医者になるという夢を持っていましたが、学校に加えて塾も閉鎖され、教育を受けられません。このままでは夢をかなえることができません」「私たちが教育を受け続けることができるように、世界の人々からタリバンに圧力をかけてほしいです」

次ページ
■「現代に必要な知識を教えられない」責任者が抱える不安
    おすすめ