韓国の人気リゾート済州島 “聖地巡礼”で日本人観光客狙う
韓国を代表するリゾート、済州(チェジュ)島が、日本人観光客を取り戻そうと動き始めています。地元がアピールに力を入れるのは、日本でも人気のドラマや、人気アイドルグループに関係する場所でした。
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韓国南西部に浮かぶ、韓国を代表するリゾートの済州島は、今、観光シーズンの真っ盛りです。美しい海や、雄大な自然を求めてやってきた人たちでにぎわっていました。
観光客のお目当ての1つが、豊かな海で採れる海産物です。あまさんが、採ったばかりの貝などをその場でさばいてくれるのです。
かつては、年間1500万人を超える観光客が国内外から訪れていた済州。ところが、韓国国内からの旅行者は、済州島の現状について「(以前は)中国人や日本人、外国人が多かったと思いますが、今はいないです」と話しました。
コロナ前は、外国人観光客で溢(あふ)れていた済州国際空港は、国内線ロビーは多くの人で混雑していますが、反対側にある国際線ロビーはまだ運航が再開されていないため、閑散としていました。
新型コロナ対策を受け現在、国際線の運航は全て休止。ピーク時には年間、約18万人いた日本人観光客は、ほぼゼロとなりました。
外国からの観光客受け入れを停止してから、すでに2年あまりがたちます。コロナ後を見据え、観光地が動き出していました。
韓国・西帰浦(ソギポ)にある、森林浴ができる「癒やしの森」の入り口で手渡されたのは、日本語のガイドです。
実はここ、日本でも話題となった韓国ドラマ「愛の不時着」のロケ地です。しかも、撮影されたのは許されぬ恋に落ちる韓国人のヒロインと、北朝鮮の将校が出会う重要なシーンです。
済州・西帰浦市職員 梁銀英さん
「ドラマ『愛の不時着』の撮影場所がまさにここです」
記者
「『愛の不時着』の撮影地。そういわれてみれば、見覚えがあるような気がしますね」
今後、ロケ地を巡る“聖地巡礼”に訪れる日本人ファンを呼び込もうと準備を進めているのです。
梁さん
「案内板や、日本人観光客が来た時にどうガイドすべきか、独自に教えようと準備しています」
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コロナ禍のまっただ中にオープンした、スヌーピーのテーマパークでも、日本人観光客にアピールできる出来事がありました。
BTSのファン
「BTSのJIMINが来たと聞いて、一度来てみました」
BTSのファン
「JIMINの旅行地を巡っています」
世界を席巻する人気アイドルグループ、BTSのメンバーJIMINさんが訪れたのです。
去年12月、JIMINさんは、キャラクターなどと撮影した写真をSNSに投稿しました。それを見た韓国のファンが、JIMINさんと同じ場所とポーズで写真を撮ろうと続々と訪れているのです。
BTSのファン
「JIMINと一緒にいる気分です」
スヌーピーガーデン運営スタッフ 鄭秀賢さん
「外国人にもたくさん来てほしいです」
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一方、済州には、外国人しか利用できないリゾート施設があります。普段は撮影禁止というその施設は、外国人専用のカジノです。特別に案内してもらいました。
記者
「全然お客さんがいなくて、すごくさみしい」
オープンしたのは、コロナが流行する2年前です。その直後は、日本円で月に300億円ほどの売り上げがあったといいますが、コロナで売り上げは9割以上減少しました。外国人専用施設として認可を受けたため、韓国人も利用できるよう変更することはできないといいます。
神話ワールド施設運営会社・専任常務 李信愛さん
「私たちの職員のなかには、様々なアジアの言語を話せる職員もいるので、早く海外と自由に行き来できるようになることを心待ちにしています」
そしてついに、4日、韓国政府は来月1日から、外国からのビザなし入国を、済州で再開すると発表しました。今回、『日本は韓国に対するビザ免除を再開していない』との理由で対象国に含まれませんでしたが、その日に向け、済州では期待が高まっています。
済州特別自治道庁・観光政策課 辺暎根課長
「済州にとって最も歴史が長く、親しみのある海外観光市場は日本です。そのため、日本専門のツアー会社やガイド飲食店など、人的・物的なインフラも整っていると思います。済州でお会いしましょう」